例えば俺達が敵同士だったとして 


「そうしたら、おれ達が敵同士だったとして、戦闘になったらどうする?」
もう四度目ともなると質問の意図など気にならなくなる。しかし、内容が内容だ。
「お前がおれを裏切るのか?」
不愉快な質問に声が低くなる。その変化に気付いた男性はふふっと笑って、最初から敵同士かもしれないよ、と言う。どちらにしろ不愉快なのは変わらない。男性はおれのモノなのだから、他の奴のモノになるなんて考えられない。仮にそうだとしたら、再び自分のモノにするべく奪うだけだ。自分はきっと男性が思っている以上に男性に依存している。一つの海賊を率いる船長が笑えない。先程まで自分に殺されればいいと思っていたが、実際にそうなると出来ないのだろう。だから奪う。海賊だから。

「お前は、おれのモノだ。」

例えば俺たちが敵同士だったとして



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