20-1

ピロリン、と携帯が鳴る。これは多分、メール。
画面には、「メールを一件受信しました」の文字。
早速開いてみた。



送信者>>速水マツリ



珍しい人からのメールだった。なんだろう。ちょっとだけ嬉しい。



sub:見てみてー☆




…?
何だろう、ご丁寧に件名まで。



本文:
ベストショット!!
これどう思う?




端的な文字と、添付された画像。それを見て私は固まった。




「アンタこのためにケータイ借りたの?」
「うん」

私のケータイのデータフォルダにおさめられていた一枚の写真と、メールの送信ボックスを交互に見合せ、目の前にいる心亜に軽く怯えた。
よく臆面なく、人のケータイでこんなことできるなコイツはよ。
いや人のケータイだからできるのか。

「うへぇー……。ちょっと、面倒事に巻き込むなよー」
「その先を望んでんなら口出ししない方がいいよ。楽しくやろうや」

クククと笑うコイツは、本当に悪役が似合う。
うへーおっかねー。

「ちょっと生徒会室寄るからー」
「じゃあ外いるから」
「あいあい。絶対待っててね。寿司食いに行くんだから」
「わかったよ」

ここで一旦心亜と別れる。柳め結局放課後居残ることになったし!

しっかし、あの画像は一騒ぎ起きそうだなぁ。
え?どんな画像かって?

心亜のことだから、いずれわかるんじゃないかなぁ?




人の目を気にしない人間は見ていて面白いよね。
傍若無人だなんて私は思わないよ?ただ、えらく滑稽だとは思うけどね。

牧野まなかと仁王雅治もそんなタイプだ。

あの二人がなんでそんな奴なのかというのは追々説明するとして…。

なんか面白いこと転がってないかねぇ。

暇潰しがてらテニス部にでも覗きにいきますか。
牧野さん元気かなー。

そういえば、よく漫画なんかじゃファンクラブとかあるらしいけど、実際はそんなのないみたいだね。
うちの学校のテニス部にもそんなものは存在していない。
ただ、一部のマニアにはそう言いふらす奴もいるらしいね。そういう人は暇なのかな。

第三者から干渉されることほどうざったいものはないのにね。その人たちも彼らも可哀想だ。

さてさて、おー、やってるやってる。
昨日とは打って変わって牧野さんは部員にべったり。
本性見せたな。
まぁ、頑張ってくれ。
君も、彼らも。

「折原」
「!」

戻ろうとすると声をかけられた。
後ろを振り向くとそこには

「…来栖…」

憎悪丸出しの顔をした、来栖翔也がいた。
あれ、私何かしたっけ。






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