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心配になったので梓ちゃんに電話をかけてみたけど応答なし。大丈夫かなー、いじめられてないかなー、と心配しながら薄笑いして携帯を耳から離した。
土曜日の午前中に起きたの、久しぶりだなぁ。何して遊ぼうかなぁ。
なんて計画を立てようにも、やりたいこともすることもない。寝ようかと思ったけど完全に目は覚めてしまい、寝れない。
そして今に至る。

広場のベンチには私一人。
また、周囲にも人はいない。歩く人、走る人が10分毎に目の前を通るだけだった。

太陽は見えていない。厚い雲が太陽の邪魔をしている。そして日は出ていなくとも、ムンムンとした暑さがあった。
降水確率50%はあながち嘘ではないらしい。

さて、なぜ私はここにいるでしょう。せめてもの時間潰し。考えてみようか。

「おーい心亜ー」

潰さずとも済んだね。
向こうからハチがやって来た。

正解は、待ち合わせでした。
私が一人寂しく何か出会いがあるかと思ってこんなところにいると思う?そんな兄さんみたいなことしないよ。人間観察は好きだけどね。

「やあやあ、待った?」
「待ったよ」
「うわ、またそんな可愛げのない心亜らしい返事なんかして」
「こう見えても10分以上待ってたんだよ。雨が降りそうで心配だったんだから」
「健気に私を待ってる心亜可愛い!」
「嘘だけど」
「嘘かよっ!」
「20分以上待った」
「うわぁすみません!」
「嘘だよ」
「また騙された!」

こんなことをしても意味がないので、私はベンチから立ち上がった。

雨の匂いが、する。




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