31-1

私が教室に入ると、皆こぞって嫌そうな顔をした。

フン、別にいいわよ。
あんたらなんかと仲良くなりたいわけじゃないもの。
それより筒井よ。
何あの態度。私にことある事につっかかってくるし。前々からムカついてたのよ。半田もろとも。

あいつのせいで赤也には睨まれるし、ブン太には警戒されるし。
それに、あの折原心亜までしゃしゃりでてくる始末。
あいつら仲がいいの?まぁいっか。そんな事どうだって。

教室の連中は私を見るなりひそひそ話に花を咲かせていた。
嫉妬かしら?醜いわぁ。低レベルよね、ほんと。

男同士が固まっている和の中に、銀色の髪をした仁王を見つけた。

「仁王!おはよ!」

近づいて挨拶すると、仁王は何も言わず立ち上がり、教室を出ていってしまった。

え?どうしたの?

きょとんとしてると、仁王がいた和の中からクスクスと笑い声が聞こえた。

「ねぇ、仁王どうしたの?」
「さぁ?自分で聞いてみれば?席隣なんだし」

一人の男子生徒が携帯をしまいながら言った。




あの写真の流出はどこからだ。っていうかいつ撮られた。

教室を出て、いく当てもなくただフラフラと廊下を歩いていた。
さっきの牧野を見る限り写真の存在には気づいてない。いや、気づかなくていい。
あの写真の出回りから見れば、俺と牧野、両方かどちらかに恨みを抱いている奴が犯人だ。
仮説だが、俺と牧野をこの学校の敵に回したいと考えてる奴。
俺を嫌ってる奴は何人か知ってる。全員女だが、あいつらが行動を起こすとは考えにくい。
そんなことすれば、今度は俺のファンが黙っちゃいない。
ああ、クソ。ようわからん。
牧野の噂は学校全体に広がってる。
マネージャーを仮とはいえやっているあいつに恨みを持ってる奴は多い。
牧野のアンチファンがやった、とも考えられるが、あの写真は誰が撮った?

クラスの奴か?でもクラスの奴があんなことするとは思えん。
あのクラスは心亜の目が光っている以上、勝手なことは、でき、ない。

「…心亜が、いる以上…?」

自分の言葉にはっとした。
そうだ。盲点だった。忘れていた。あのクラスには心亜がいる。
あいつは最初っから牧野を嫌っていた。動機はある。理由もある。

でも、なぜそこに俺が入ってくる?
…俺は、心亜に嫌われていたのか?

「あれ。仁王だ」

階段に差し掛かった廊下。
上を見たら、心亜がニヤニヤ笑って俺を見下ろしていた。






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