13

歪んでる。この世界は、歪んでる。

何なの、何なのよ。
私は「テニスの王子様」の世界に来ただけなのに。なんで、こんな世界になってるのよ。
見てみぬふりするクラスの奴に、近づいてこないキャラクター達。

そして、折原心亜。

狂ってる。人殺しまでして、大切だったもの放り投げてこの世界に来たのに。
予想外の出来事ばっかおきる。

「…私が…何したっていうのよ…!!」

ムカつく…!ムカつく!私は愛されたい。愛されるために、この世界に来たんだから……!

壁を拳で殴った。鈍い音がしたけど、そんな痛みなんて感じない。

「意地でも愛されてやるッ……!」

唇を噛みちぎる勢いで、少女は歯を食い縛った。




携帯のバイブ音が響いた。
一応学生だし学校なのでマナーモードにしている。
メロンパンを食べながら携帯を開くと、メールが5件もきていた。

「…チッ…」

舌打ちしたくもなる。そんな盛大な私の舌打ちに気づいたのか、ハチが弁当箱から顔を上げた。口にソースついてるけど言わないでおこう。

「なになに〜?お兄さん?」
「…ああ」

ハチの言った通り、5件全て馬鹿兄貴からのメールだった。



from:折原臨也
sub:タイトルなし
(`・ω・´)キリッ







from:折原臨也
sub:タイトルなし
(´・ω・`)…







from:折原臨也
sub:タイトルなし
(´・ω・)ゞポリポリ







from:折原臨也
sub:タイトルなし
(´σω・`)。о゜







from:折原臨也
sub:ねぇ、
俺って顔文字作るの天才?(笑)






殴りてぇ。モニター突き抜けてアッパーカットを決めてやりたい。
何がしたいんだこの男は。顔文字がウザいのにさらに(笑)がウザさを増している。
しかも結構本気で考えてたらしくてどれも時間が少しあいている。さらにウザい。しかも不憫。
早く静雄さんに殺されろ。っていうか時間返せ。

とりあえず「死ねq(<●>-<●>)」と返信しておいた。
そろそろ本気で受信拒否にしようかな。

「ハチ」
「ん?」
「ソースついてる」
「舐めて」
「殴るよ」

嘘です嘘ですと言ってティッシュをとりだし口の回りをふくハチ。

「ああ、そういや朝の話なんだけど」
「うん」
「なんか牧野さん、心亜を陥れようとしてる」
「ご苦労なことだね。私何もしてないのに」
「うわぁ白々しい」
「まぁいいさ。好かれることより嫌われることのほうが私にはあってる」
「私は心亜が好きだからね」「そりゃどうも」

するとバイブ音が鳴った。
多少拒みながらも携帯を開くと、案の定、馬鹿からだ。




from:折原臨也
sub:(*°□°人)
ツンデレktkr





携帯が真っ二つになった。






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