11-2

『お試し期間で2週間、マネージャーをしてから決める』

柳にそう言われた。

ムカつく。
ムカつくムカつくムカつくムカつく!
私に振り向かないみんなも、透かした態度の折原心亜も!何なのあいつ!何様のつもりよ!
クラスの奴もクラスの奴で、何で何もしないの!?
何であんな奴を受け入れてるのよ!!
仁王も…何であいつの事を呼び捨てにしてんのよ!
所詮あいつはミーハーじゃない!ニヤニヤ笑って、興味ないふりして、近づいて…。

何なのよ…!


収まらない怒りが膨張し、側にあった本をドアに向かって投げた。
派手な音がした。


「気にくわない……!!」


人を殺して神に出会って転生したってのに、肝心の私に何故誰も振り向かないのよ…!いや、このさいそんなことどうでもいいわ。
折原心亜よ。
女王だか何だか知らないけど、私をどれだけ馬鹿にすれば気がすむのよ。あいつを…あいつを陥れることができれば、私は皆に讃えられる。愛される。

…そうよ、私が

私が、仕掛けてやる。あんたの大切なモノ、全部奪ってやる。




「速水さんおはよう」
「んあ?あ、おはよう」

朝早く学校に来た。
折原心亜と一緒にいる速水マツリとかいう女はコンビニ弁当を頬張っていた。朝からよく焼肉なんて食えるわねこいつ。
太るわよ。これ以上太ったら余計醜くなるわよ。
それを悟られないように演技をする。

「昨日、部室に折原さんが来たんだけどぉ…」
「へー」
「彼女、あなたの悪口言ってたのよ」

箸が止まった。そして私を見た。

ビンゴ。にやりと笑う。

「なんかぁ、付きまとわれててうざいとか言ってたの」
「……」
「なんでそれを、私や仁王のいる前で言ったのかわかんないけどぉ」
「…」
「ねぇ、悪い事は言わないから、折原さんとは手を引いたほうがいいよ」

終わりよ、折原心亜。




焼肉弁当まじ美味なり。とか思いながら食べていたら転校生がやってきた。
あらららどうしたのかしらん。
とりあえず挨拶を返す。

「昨日、部室に折原さんが来たんだけどぉ…」

ちょ、その声。なんだどうしたキモいぞお前。女子ってのはなんでこう猫かぶるのが上手いんだろうね。
っていうか、知ってるよ。私もいたし。菓子食ってたし。
いやでもしかし。ここは空気を読むか。

「へー」

私のカンがただしけりゃこの女馬鹿なことするぞ。
あ、焼肉弁当冷めちゃう。

「彼女、あなたの悪口言ってたのよ」

うわぁ、ビンゴだよ。
ベタだよベタベタだけど箸が止まっちまったし彼女のほうを見ちまった。なにその言い切ったぜ褒めて、みたいな顔。

みたいな顔。
いやいや、無いわ。これは無いわ。
心亜そんなこと言ってないわ。ましてやあんたの目の前で言わないわ。

この女…私以上に馬鹿だ。

「なんかぁ、付きまとわれててうざいとか言ってたの」
「……」

よくそんなポイポイと言葉が出るな。引くわー。女の子ってなんて怖いのかしら。

でもここは私も大人な対応をするさ。黙って彼女を見つめる。

「なんでそれを、私や仁王のいる前で言ったのかわかんないけどぉ」

こっちもわかんねぇよ。嘘だろうけど何でそれ私に言うんだよ。
何がしたいんだこの人。

「ねぇ、悪い事は言わないから、折原さんとは手を引いたほうがいいよ」


…ああ、成る程。
そういう事。馬っ鹿だなぁこの子。思った以上に馬鹿だ。
まぁそうだよね。私と心亜の関係を知らないから。

ニヤリと笑った。

「…君は勘違いしてるよ」

そう言うと彼女は顔を歪ませた。
「は?何いってんの?」と言いたげな顔だ。

いいだろう教えてやる。

「言っとくけどね牧野さん。私と心亜は『友達』でも『親友』でもないんだよ」

私たちは2人共、仲良しこよしなんかできっこないんだからさ。






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