「今日からお前らの理科を教えることになりました。入野です」

はい、というわけで、立海に新しく赴任された入野先生。男性です。イケメンです。

赤也のクラスが初授業で、淡々と自己紹介をする。それをボーっと聞いてる赤也。

「独身ですかー?」
「まぁそうなるなー」
「彼女はー?」
「いねーなー」
「好きなものはー?」
「焼き肉とバスケだなー」
「得意なものはー?」
「テニスだなー」
「バスケ好きなのにテニスが得意なんですか?」
「好きなもの=得意なものとは限んねーだろ?お前らだってとんこつらーめんが好きでもとんこつらーめんは作れないだろ?それと一緒だ」

馬鹿なんだかアホなんだかわかんない入野。だがルックスで女子生徒からは人気を得る形となる。
で、テニスが得意だと言った瞬間赤也が反応する。

テニスが得意?まじかよ。見た目ひょろっちくて、いかにも理数系、みたいな感じなのに。

立海男子テニス部にはまだ顧問がいず、どちらかというと浮いていた。
顧問がいないということは練習試合も組めないし、強豪といえど合同合宿の参加ができない。入野なら顧問にしてくれるかも!と思い、取り敢えず幸村たちに相談。

「入野先生…って、新しく入った?」
「そうっス!もしかしたら顧問やってくれるかも!」

幸村一行も興味を持ち、新任教師入野先生に顧問をしてもらうよう頼んでみる。

「入野先生、少しお時間いいですか?」
「何だ?」
「3年A組、柳生です」
「ああ、うん。一回授業したよな」
「はい、あの、私はテニス部なんです」
「へー」
「入野先生はテニスが得意と聞きました。よろしければ、我がテニス部の顧問になってもらえないかと部長が」

…え?じゃあお前何だよ。部長じゃねぇの?え、こういう頼み事って部員全員じゃなくても部長と副部長が頭下げにくるもんじゃねぇの?
ってか「顧問になってもらえないか」とかどんだけ上から目線?かなり意味わからん。随分高飛車で我が儘ですこと。
ゆとり世代怖いわー。
まじないわー。
お前もゆとりだとかそういうツッコミはなしの方向で。
↑は0.3秒の間で起こった入野先生の解釈である。

「無理だな」
「え」

サラリと何の考えもなしに言う入野先生に戸惑う柳生。

「こういう「目上の人への頼み事」って、部員全員は無理でも、レギュラー全員とか、部長と副部長だとかが頭下げにくるんじゃねーの?」

核心をつかれ戸惑う柳生。

「部長に頼まれたみてーだけど、お前のとこの部長がどんなに偉くてもそれなりの礼儀ってもんは、こういった場において必要不可欠だ。悪いけど、俺はそういう常識だとか礼儀だとか教える側の人間だから、今のはすごくムカついた。って、部長に言っておいて。顧問はやらない。…ああ、柳生って言ったっけ。今小テスト採点してたんだけど、クラスで唯一満点だったぞ。この調子で頑張れ」

とん、と柳生の肩を叩いて授業へ向かう入野先生。
アメとムチは使い分けてナンボです。

それを幸村たちに伝えると、幸村落胆。逆に赤也がキレる。

なんでだよ!!俺たちテニス部が言ってんのに!!意味わかんねぇ!!

はい、ガキです。
でもこういった役は必要なんです。
比較的大人な幸村、真田、柳、柳生、ジャッカルはああそうだなとなるが、仁王、丸井は新任だからってなめてんだろ、とちょっとムカムカ。

後日、レギュラー全員で入野先生を訪問。

「先日は失礼しました。テニス部部長の幸村です」
「…ああ、お前が。…で、お前らレギュラー?」
「はい、流石に部員全員は迷惑だと思ってレギュラー全員を集めました、あの、お願いします!!俺たちの顧問になってください!!」

幸村の掛け声で、全員が頭をさげる。

入野先生、それを見て今の奴らって熱心だな、とかなんとか。

「うん、じゃあ上とかけあってみる」
「やってくれるんですか!?」
「許可おりたらな。ほら、早く教室戻れ。授業始まるから」

いっぺんした態度に赤也はますます不機嫌に。

「じゃあまずマネージャーを3人用意するのと、お前らの基礎体力チェックだ。全員体力テストするぞー」

ってな感じで入野先生、頑張ります。
言わせたいセリフ

「俺が部活にくればなんで来るんだと文句を言い、来なければなんで来ないんだと文句を言う。大人を馬鹿にするなよ。その気になれば色々理由こじつけて部活停止にも大会不参加にでもできるんだ。お前らにはほとほと呆れるわ。俺顧問やめる。及川、森野、立花もマネージャーやめていいぞ。今まで悪かったな」

教師って大変そう。



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