「愛」を交換
今日はバレンタインデー。
老若男女が浮わついているのは、聖地マリージョアでも同じであった。

海軍の中将がバスケットにクッキーこさえてるって、威厳もなにもあったもんじゃないな。
さっさと配り終えないとセンゴクさんにどやされそうだなぁー…。

少し飽き飽きしていると、前方から見慣れないピンク色が近付いてくるのが確認された。

確か、七武海の、アレだ。何度か見たことがある。はずなのに名前が出てこない。
誰だっけ。


「!フッフッフ…。中将もこの日だけは浮かれんだなァ」
「年中浮かれてそうなアンタに言われたくないんだが」


名前を思い出せないうちに向こうから絡んできた。
返事をした間も、モヤモヤは晴れない。誰だっけ何だっけ。


「オイオイ、あんま睨んでくれるなよ。気分が悪ィ」
「え?ああ…悪い。ってかアンタなんでここにいる。今日召集あったっけ?場合によっては斬るぞ」
「少なくともバスケット持ちながら言う台詞じゃねぇなぁ」


フフ、フッフッフ、とまた気味悪く笑った。
あ、思い出したドフラミンゴだ。


「で、アンタなんでここに?」
「バレンタインだからなァ。おつるさんに渡そうと思ってな」
「毒殺でも起こす気じゃないだろうな」
「フッフッフ、フフフフフ!そんな趣味の悪ィことするわけねェだろ。日頃の感謝の気持ちを込めてだ。なんなら毒味でもするか?一粒1000ベリーのチョコレートだぜ、フッフッフ」


と、ピンク野郎は笑いながら蓋を開けた。
見ると、綺麗に敷き詰められた美しいチョコレートがあった。


「こりゃまた高そうな…。しかしそこがまた怪しい。口にいれた瞬間爆発するとかじゃないだろうな」
「短期は損気だぜ、なまえ。黙って食え」


そう言って奴は適当に一粒手に取り、そのまま私の口にねじ込んできた。

爆発、なし。毒ととれる苦味もなし。なんともまろやかな、上品な味である。


「お、美味い」
「フッフッフ。やっぱり警戒心がねェなぁ今日は。隙だらけだぜ?フフフ、まぁ安心しろ。なにもしちゃいねぇさ」
「!」


すると今度はチョコレートを持った手を私の頬に添えだした。
なんだこの流れ。


「なにかしてやってもいいけどなァ?顔はタイプだ」
「…生憎だけど、男に困ってないんで」
「フッフッフ!まぁそういうことにしといてやるよ」


そう言うと最後に唇に親指をのせ、下唇をいやらしくなぞり、手を離した。

その行為で私は一気に警戒心を取り戻した。警戒心というか嫌悪だ。


「じゃ、それを一つ貰おうか」
「はいはい、持ってけドロボー」


私がクッキーを差し出すと、またフッフッフ、と気味悪く笑い、今度は舌をペロリとだした。


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