藍染の馬鹿のせいで殺された私は黄泉の世界らしき世界にいる。
しかしこの世界は私が生前聞かされていた死後の世界とかなり違う。平和とは違い、常に危険と隣り合わせのこの世界は、案外尸魂界とは変わらないのかもしれない。

でもどうだろう。
どちらかというと何百年も前の現世に似ているかもしれない。海賊という組織とそれを取り締まる組織がのさばっていて、見ている分にはあきない。
が、海賊というのはひどく横暴である。

この船に乗って、私はそれを知った。


「奇襲だァー!!」
「……」
「よっしゃァ暴れるぜェエエ!」


海賊というのは乱暴だ。

仲良く宝を見つければいいのに、我こそが我こそがと相手を出し抜くためにこうやって戦う。私が今世話になっている船の奴らは全員戦闘狂らしく、戦いを好み、無駄な争いも面倒な争いも全て受けてたつ馬鹿しかいない船だった。
乗る場所間違えたと思ったが、話を聞く限り海賊はみんなこんなもんだという。嘘だろう。

山本総隊長、とりあえず私は元気です。
地獄蝶もないということはここはきっと尸魂界とは別世界なのでしょう。
黄泉の国とは言いましたが、ここでは死人もたくさん出ています。虚にも遭遇しました。

ならここは、どこだというのでしょうね。私にはわかりません。これも全て藍染のせいです。
藍染はきっとよからぬことを考えています。私の声が聞こえたなら、馬鹿なことが起こる前に殺しておいてください。敬具。


「…さて…。止めてくるか」


現(?)十三番隊第三席、元十四番隊隊長、奈須野さをり。只今キッド海賊団に居候中。
藍染の馬鹿は、とりあえず殴りたい。


ガチャ、と乱暴に扉が開いた。
いたのはマスクが血で汚れたキラーだった。もうドンパチ始めたらしい。


「さをり、早く出てきてくれ。苦戦している」
「…私は殺さないからな。止めるだけだ」
「知っている」


ほんとにわかっているのかこの男は。

ため息をつきながら、斬魄刀を腰にさした。




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