明日はお天気 | ナノ

 05

「何や財前、徹夜か?」

白石部長が緑色の飲み物を持って近づいてきた。

「なんすかそれ」

透明なプラスチックのコップだから見える、その青汁より濃い緑色に俺は吐き気を覚えた。
口の中がピリピリしてきた。

「眠気覚ましにどうや、一杯」
「後輩を黒魔術の生け贄にせんでください」
「失敬な。元気のない後輩を元気付けようとしとるのに」
「変な匂いするんではよ捨ててください。今部室にファブリーズないんですから」

部長はしぶしぶその特性青汁を一気飲みした。
よう飲むなぁ、そんなエグいモン。

「で、またパソコンしとったん?」
「まぁそんな感じっスわ」
「宿題は終わったんか?溜めとくとえらい目にあうで」
「初日で全部終わらせたんで。趣味に部活に大忙しで、自分がもう一人欲しいくらいやわ」
「それ俺も同感や」
「!」

俺よりクマが酷い謙也先輩がやって来た。
ちなみに遅刻や。この人何してん。

「遅いで謙也。何しとったん」
「おお白石…。スマン…」
「うわ、ひどいクマやな」

そう言うと部長はまたいそいそと特性青汁を用意し出した。
流石の謙也さんでも失神するんちゃうんか、コレ。

「もう一人の俺がおったら、一緒に宿題片付けてもらえるんやけどな」
「謙也さんてスピードスターとか言われてはるくせに、宿題に関してはのろまっスね」
「るっさいわ。…せや財前、昨日のブログ見たで。フランス人が引っ越してきたんか?」
「まぁ」

謙也さんには俺のブログを教えてある。

というのも、ずいぶん前に俺のブログでペン回し動画を紹介させてもらったお礼に教えておいた。
そんでこの人はオタクでも何でもない一般人。後輩のブログやからか、ちょくちょく見てるっぽい。
それらしいコメントを何度か見かけた。

「同い年っちゅーことは、明日から学校か?」
「まぁ、そうなんちゃいます?」
「なんやお前。ブログではテンション高かったくせに」
「リアルとネットを同一視せんでください。…じゃ、先コート行きますわ」

部長の両手に液体の入ったプラスチックのコップがあったので、とりあえず部室から逃げた。

マカロン食いとうなってきた。


05#部活


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