明日はお天気 | ナノ

 04

なかなかいいアイディアが浮かんでこない。
ありきたりなセリフばかりが浮かんでくる。

午後3時。日がな一日パソコンの前にいる俺。
朝にあったイベントが大きすぎて、というか気にかかりすぎて、集中できないのも確かだ。
いまどき金髪オタクのハーフ美人が越してくるなんて、気にならない方がおかしい。


04#贈り物


明日は部活で、明後日が新学期。
あの金髪とももしかしたら同じクラスになるかもしれん。
…なんか嫌やなぁ。うまく説明できんけど。

日本ゆうか、大阪に慣れるのには結構時間かかるやろな。
いろんな目で見られるやろうし。
でも多分クラスの腐女子が同じ匂いを嗅ぎつけて仲良くなってくれるやろうし、俺が心配することやないか。

のどが渇いたので麦茶でも飲んでこようかと椅子から立ち上がると、ちょうど玄関のベルが鳴った。

今家には俺しかおらんので、しぶしぶ俺が出ることになる。
誰やろ。宅配?

でも階段から降りて玄関へ近づいて気づいた。
シルエットに見覚えがある。

まさかと思ったがサンダルを履いて扉を開けた。

「光!贈り物届けに来マシタ!」
「……」

金髪だった。

「…ああ、どうも」

明後日まで会うことはないと思っていたのにもう会うことになるとは。

本当に贈り物を届けに来たらしく、手には高級そうな箱があった。

「とっても美味シイフランスのマカロンデス!これカラお世話になりマス」
「ああ…おおきに」

俺がそれを受け取ると、金髪はぺこりと頭を下げた。

引っ越し蕎麦みたいなもんか?
にしても蕎麦より高級感のあるマカロンをもらってしまった。
ええんかこれ。

「これホンマにもらってええんか?」
「Bien sur!(ビヤンスュル)」
「…うん?」
「オフコース!」

…ああ、もちろん、か。

やっぱそこまで日本語に万能じゃないんか。

気になって箱を開けたら、すごい綺麗なマカロンがすごい綺麗に並べられていた。
金髪はそれを見て、とても嬉しそうに笑った。

「…上がってくか?茶くらい出すで」
「?」
「あー…」

通じないらしい。
ああ、どないしよ。

「…これありがとな。またあとでお返しに行くわ」
「Oh、気にシナイで下サイ。フランス人優しいヨ!」
「…道わかるんか?」
「大丈夫!またネ、光!Au revoir(オ ルヴォワール)」
「ああ、またな」

きっと最後はさよなら的なことを言ったんだろう。

っていうか、茶も出せない俺はどんだけヘタレやねんっちゅー話や。


マカロンを一つ摘まんで食べた。
甘ったるいな、意外と。

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