※携帯電話擬人化



「うーん…?」

わからん。全然わからん。何がどうなってんだこれ。

じとーっと俺を見上げる新しい携帯電話は、うんともすんとも言わない。
毎秒事に瞬きをするだけ。

「……オイ、動け」
「………」

反応なし。

「…うーん…返品すべきか?」
「どうしました火神くん」
「ぬぉわ!?テメェいつからいた!」
「さっきです」

黒子が新しい携帯に目をやった。

「スマホですか?」
「ああ。…でも全く使えねぇ」
「火神くんが使いこなしてないだけでは?」

黒子が銀色の髪を触ると、目がピカリと光った。

「うぉっ!?点滅した!」
「とりあえず触ってみるのがいいですよ。これ以上触って壊したら嫌なので、火神くん、どうぞ」
「お、おう…」

黒子が一歩退いて、髪が手からさらりと落ちた。

代わって俺が髪を触り、頭を撫でた。
うわ、なんか壊れちまいそうだ。薄っぺらいし。軽いし。

「えーと…まずは、俺の自己紹介からいくか」
「自己、紹介?」
「お前の所有者。火神大我だ」
「火神、大我。インプットしました」

キュルル、と音がして目がまた点滅した。いちいち赤く光るのが特徴らしい。

「えーと…悪いな、こういうの苦手だから慣れるのに時間がかかるかもしんねーわ」
「ううん、大丈夫。問題ない。私頑張る。サポートする」
「サンキュ。えーと…じゃあ…こいつ、試しに黒子をアドレスに登録してくんね?」

俺から視線を外し、黒子を見つめ了解、と呟きまた目が点滅した。

「黒子テツヤ、インプットしました」
「はい、ありがとうございます」
「アドレス帳ナンバー001に登録しました。…大我、テツヤにメールや電話をしたい時は、私の右耳に向かって話して」
「え、左と右でなんか違うのか!?」
「違う。使いづらくてごめん。でも理解して」
「お、おう…。こりゃ徹夜で覚えなきゃ駄目だな」
「私の名前は、名前。大我には、そう呼んでほしい」
「え、ああ…。わかった」
「ごめんなさい。疲れた。眠る」
「?…あ、おい!?」

名前が俺の胸に倒れ込んできた。
横で黒子が名前の髪の毛を触ったり、わしゃわしゃと撫でたりした。

「…電池切れですね」
「マジか!?ちょ、大丈夫か!?」

慌てて名前の顔を見ると、名前は目を閉じて寝ていた。

「…使いづれぇ」
「可愛いじゃないですか」

銀色の髪が風で靡く。
使いこなすには、まだまだ時間がかかりそうだ。


***
火神大我のケータイを女の子にすると 名前は「麗(うらら)」。銀 のロング で、瞳はつり目の茶色。身長は167cmくらいのほんわかした女の子です。
…と出たので。




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