1/3「馬鹿は風邪を引かないといいますが…」
「うん、あの…。もうちょっと労ってくれませんか……」
冷えピタを貼った幹也がゴホゴホと咳き込みます。
ええ、風邪を引きました。幹也が。
休日だったのでよかったものの、熱は38度越えです。
最近風邪、流行ってますよね。皆様もお気をつけて。
「…というわけなのでリコさん、幹也を休ませてもらえませんか。部活なのにすみません。このまま部活に行かせても皆様に迷惑かかりますので…」
幹也本人は電話ができない状態なので、私が代わりにリコさんに電話しています。
なんだか、小学生の母親になった気分です。
「うん、オッケーオッケー。休ませておいて。…で、体調はどうなの?」
リコさん、やはり心配らしいです。
声のトーンが下がりました。
「38度超えでして」
「38!?」
「前から喉が痛がっていたんですが…。でも本当、心配なさらないでください。単なる風邪ですから」
「そう…なんだ。うん、確かに喉が痛いって言ってた…。わかった、じゃあみきなちゃんに任せるね、よろしく」
「はい」
「あとゴメン、迷惑じゃなかったらお見舞いに行ってもいい?果物とか買ってくし」
「あ、じゃあすみません、お願いします。実は鷹那も寝込んでて…」
「たっ、鷹那ちゃんも!?」
おお、びっくりしてる…。
はい、鷹那も寝込んでいます。でも幹也と比べても症状は軽いので、多分今ごろベッドの中でPSPをしてると思います。
没収ですね全く。
「はい、じゃあ…果物とか、プリンとか…。あ、ポカリも…」
何を買ってきてもらうかリコさんに頼み、電話を切りました。
さてと…。
鷹那の部屋に行ってPSPを没収、次に幹也の部屋に行って水の補充、次におかゆでも作りましょうかね。
せっかくの休日がおじゃんになりました。
でもやることもなかったし、いっか。
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