ラナンキュラスは枯れない

※マネージャー設定



好きなんだな、と自覚をしているつもりだけれど、私は彼と関わることが怖いのです。
そんなこと、言えやしませんけれど。

好きというより、憧れに近い。
そして何より、あの人と似ている。

跡部先輩は私の視線に気づいたのか、どうした佐鳥、と遠くから声をかけてきた。
私は顔を逸らし、いえ別に、と言った。

「アーン?俺様に見惚れといてそれはねぇだろ?」
「何を申しているんですか。ただ視界に入っただけですよ」
「よく言うぜ」

笑いながら跡部先輩はこっちに来ました。

練習をしていたので、先輩の額にはうっすら汗が。
見ていないふりをして、タオルを差し出した。

「気が利くな」
「ええ、よく言われます」

そう返すと跡部先輩は、満足げに笑いタオルを手に取りました。
やっぱり、この人は綺麗だ。

日吉くんも、この人を負かしたいと思っている反面、この人に憧れている。
憧れているゆえ、負かしたい。きっと、そう思ってるはずなんです。

「…そういえば、お前、よく俺様を見てるよな」
「え?」
「やっと俺様の魅力に気づいたのか」
「…まさか」

まさか。何を言いますか。
あなたを見ている人たちはみんな、あなたの魅力を見ているんですよ。
綺麗なものをみたいという気持ちは、誰にだってあるんですから。

コートの外から聞こえる女子生徒の声援。
そのほとんどが、跡部先輩へのもの。
加藤先輩だって、本当は跡部先輩が好きで。

「…跡部先輩」
「あ?」
「……いいです、やっぱ」
「…?調子が悪いなら、休んでもいいぞ」
「はい」

私が気に掛ける必要なんてないほど、あなたは魅力に富んでいる。

つまり私が、あなたを好きでいる必要もない。
でも、好きなんですよね。

あなたに見合う人になりたいですよ、本当に。



***
30万リク「もしもヒロインが跡部を好きだったら」
ラナンキュラスは花。花言葉は「あなたは魅力に富んでいる、光輝を放つ、名誉 」
もちろん枯れます。

きっとこの話の跡部もヒロインのこと好きだと思いますけどね。


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