突撃インタビュー2

お久しぶりです、僕です。まさかの再登場に僕も驚いています。

皆様お分かりのように、またなんか取材してこいと言われまして今に至ります。
ちなみに前回の折原先輩のインタビュー記事は問題があったのか、新聞に載ることはありませんでした。やらされ損じゃないか、僕は。

で、今回のお相手は、なんとなんと生徒会長様です。
真面目で聡明な方だと聞いていたし、集会でも見ているのでそこまで怖い人ではないと思う。安心だ。

もうアポは取ってあるとかで、僕は今生徒会室前にいる。
よし、行くか。今回は内容も少ないし、さっさと終わらせて部室に戻ろう。

ノックをして、失礼します、と言ってドアノブを捻った。

「新聞部一年、広末です」

中に入ると生徒会メンバー勢揃いとは言えないが、お目当ての会長はいた。
僕に気づくと、「おおらっしゃい!」と軽快なノリと声で出迎えてくれた。でもすぐに会計である柳先輩に「やめろ」と注意されたが、会長は気にすることもなくポッキーを3本ずつボリボリと食べていた。あ、やばい。この人もなんかおかしいぞ。
嫌な予感が的中しないことを願おう。

どうも、と会釈をすると、柳先輩がそこに座ってくれと促した。とりあえずパイプ椅子に腰かけた。
速水会長はポッキーを食べ続けている。あれは1本ずつ食べるから美味しいのではないだろうか。

「速水、いい加減にしろ。広末はお前なんかのために時間を割いて来てくれたんだぞ」
「なんだよ柳、お前もポッチー食べたいの?あげよっか?ポッチーゲームする?ん?」
「すまないな広末。このことは記事にはしないでほしい」
「あ、いえ、大丈夫です」

会長は僕らのやり取りを見てにっしっしと楽しそうに笑い、ポッキーを全部食べ終えた。

「よし、じゃあ始めようか。柳は部活行っていいよ」
「そのつもりだ。あまりふざけたことをするなよ」
「そんなことしないし。散れ散れ」
「…」

僕にはわかる。柳先輩、イラついてる。そして会長はその態度を見て笑ってるのだ。
なんともまぁ、わかりやすいお二方である。

柳先輩が部屋を出て、僕たち二人だけとなった。柳先輩はいったいなんでここにいたのだろう。謎だ。
まぁ、とりあえず質問に移ろう。

「…じゃあ、さっそく質問に」
「あ、うんいいよー。なんでも聞いて」
「えっと…ですね、男子テニス部が関東大会出場となりましたが…、会長として贈る言葉を一つ」
「勝て、以上」
「いやもうちょっと…なんかないですか?」
「えー、だって部外者の私が言葉贈ったところでどーにもならんでしょうよ。プライドだけは人一倍高い連中なのに」

ぼりぼりと背中をかきながら言ってのけた速水会長は、遠まわしにテニス部を馬鹿にした。柳先輩がいなくてよかったと思う。もしかして、だから柳先輩を追い出したのか。
いやでも、この人は本人の目の前でも普通に言いそうだ。

しかし、どうしたもんかなぁ。

「…すみません、インタビュー終わっちゃったんですが」
「あれ?そうなの?暇だしもうちょっと話そうよ」

さぁなんでも聞いて!と言いながらお菓子の袋を開けた会長。
自分から話を終わらせたくせにこっちから話を振れというのか。何を聞けっていうんだ…。
とりあえず時間をつぶせればいいか。

「…じゃあ、男子テニス部レギュラー個人に対して、一言お願いします」
「それ記事にする?」
「いや、僕が聞いてみたいだけなので他言はしません」
「そっか」

部屋に香ばしいコンソメの匂いが充満した。食べる?と袋を差し出されたが僕の腕が伸びるわけではないし、歩くのも面倒だったので遠慮しておいた。

「幸村部長については、どうですか?」
「体大事にねー、としか。あまり知らないんだよねー。会議で会うくらいで」
「同じクラスになったこともないんですか?」
「ないねー。私二年の時に引っ越してきたのよ。制服見てわかると思うんだけど」

そこで僕は初めて気づいた。確かに会長は学校指定の制服じゃない。赤いネクタイをしていたのは制服違反じゃなかったのか。驚いた。

「あいつらの中で接点あるのは柳と、同じクラスの仁王と丸井と、真田は委員会会議で会うくらい。んで、幸村はあーでしょ?柳生には一回荷物運んでもらったことがあったっけなぁ。桑原とは二年の時同じクラスだけどあまり話はしなかったなー。二年の奴は知らんな」
「…いや、それ三年レギュラー全員とはなんらかの関わりありますよね」
「そう?でもあんな奴らと好き好んで絡もうとは思わないよ」
「どういうことですか?」
「だって、なんかうざくない?」
「はっ?」

会長はポテチを噛み砕き、同意を求めるかのように僕を見た。
…いや、そんな目で見られても。っていうか、この人はテニス部に何か恨みでもあるのだろうか。

「うざい…ですか?」
「生徒会長がこんなこと言うのはどうかなーとは思うんだけど、『自分たちが学校の顔』みたいにしてるのが嫌なんだよねぇ。そうじゃないって言われるかもしれないけど、ちょっと調子乗りすぎ。私はテニス部より吹奏楽部推しなんだ」
「そう、ですか」
「マネージャーやってる子もかわいそうだよね。女子から妬みの対処にされちゃって、原因のテニス部の男子には感謝はされても謝罪はされないわけでしょ?どうかと思うよ、それ」
「…嫌い、なんですね」
「嫌いってわけじゃないよ。ただ、あの部活のやり方が気に食わん」
「…」
「上に立つなら、360度すべてに目を配れって言いたいよ」

そう言うと、ポテチにまた手を伸ばした。

「ま、これ言って共感してくれたの心亜だけだったけどね。まぁあいつも関係ないし、って言ってたけど」
「…え?」
「ん?私の友達だよ。会ったことない?前に新聞部からのインタビューされてたけど」
「……お友達、なんですね」
「まぁねー」

楽しそうにお菓子を食べる速水会長。
僕はその話を聞いて話の輪を広げることは出来なかった。

部室に戻って、先輩から聞いて知った。
あの二人はこの学校では最高権力者と言われている、と。

先に教えろよ。



***
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