もしも幸村がヒロインを愛していたら
一目惚れって、まさにこのことなんだと思う。
まさか俺が、こんなにも一人の人間を好きになるなんて思わなかった。
折原心亜。
名前を唱えるだけで幸せな気分になる。どうやら重症らしい。やばいな。たった一人に対して、何考えてんだか。
でも仕方ないよね。君がそうさせたんだからさ。
「はい仁王、ラン行ってきて」
「え」
「5時まで走ってきてね。休んでたりなんかしたら承知しないから」
「ちょ、待ちんしゃい幸村。俺なんかしたか?」
ああ、白々しい。そんなに俺を怒らせたい?
「自分の胸に手をあてて考えてみて」
いつも通り言ったら、仁王はしぶしぶ「ようわからんけど、走ってくる」と行って走りに行った。
ああ、駄目だ。まだイライラする。
君さ、心亜とクラス一緒だからって調子乗りすぎ。何回見てんの、彼女のこと。
あーどうしよ。蓮二も走らせようかな。だってあの二人今日生徒会でお喋りしてたんだよ、どう思う?
全くいいご身分だよねぇ。
「蓮二」
「!どうした?」
「ちょっとラリー付き合って」
「…断れない確率96%…いや、それ以上か」
「大丈夫。本気出さないから」
ちょっと力込めるだけ。
やばいな、なんか俺が俺じゃないみたい。
恥ずかしいなぁこんな俺。
心亜には見せられそうにないや。
***
30万リク「幸村がヒロインを愛していたら」