風邪引きました

「風邪ひいたー…」
「寝てろ」
「看病してー。俺の心亜ちゃん」
「誰がお前の?寝なよいい加減」

さっきから風邪っぴきのイザ兄がモンハンしてる心亜ちゃんにベタベタひっついている。
イザ兄は風邪で熱があるのか顔赤いし、なんか息切れてハァハァしながら心亜ちゃんを後ろから抱き締めてるから、なんていうかもう、変態臭がひどい。

そんな惨事を、クル姉と一緒になって見てるよん。

「あ、やばい死にそう。死ぬ前に心亜にキスしてもらえたら俺絶対治る」
「いいよ死んで」
「やめてよ助けて」
「心亜ちゃんのキッスは渡さない!!」
「コラ舞流蹴るな」
「いいぞもっとやれ」
「ちょ、俺病人だからっ!!ゲホッ」

ちなみにイザ兄、本当に風邪を引いている。
心配になって一応来てみたらこの有り様だったってわけ。

「だから寝てろっつってんじゃん」
「やだ心配してくれてるなんて。熱再発しちゃうよ」
「いいから寝ろ、うるさい。クル姉、ちょっと一緒に倒してくれない?」
「…了…」

と、イザ兄を踏みつける私の後ろでクル姉と心亜ちゃんはゲームをしている。



「あーもう…。大体俺は心亜を呼んだんだから、お前ら二人は帰れ」
「私たちだって今日心亜ちゃんと遊ぶんだもん!風邪ひいたからって心亜ちゃん取るのやめてよね!」
「そんな約束してたっけ」
「昨日決めたの!!」
「ああそう」
「俺は風邪引いてるんだから心亜に看病してもらう権利があるんだよ!」
「ねぇよ。いいから寝て」
「うっ…!!心亜助けて!!膝枕して!」

と床を這いずり、勝手に心亜の腰に手を回す臨也。
ぎゅう、と抱き締めるが心亜は完全シカト状態。
九瑠璃とモンハンをしている。

「う〜………。喉超痛い」
「寝ればいいじゃん」
「だから心亜の膝の上で寝る」
「ほざけ。っていうか離れて」
「とか言いながら引き剥がそうとしない心亜が大好きだよ」
「……」

完全シカトである。心亜はほっておくことにした。
構っていたらキリがないと考えたのだろう。なので全神経を狩りに集中させた。

するとうるさかった臨也の声は聞こえなくなった。

「…?」

気になって腰回りを見ると、腰に手を回す臨也が右膝に頭を置いて寝ていた。
頬がまだ赤かった。

「あーあ…寝ちゃったよ」
「疲れてたんだね」
「放…」
「あーあ、結局心亜ちゃん取られちゃった」
「帰…」
「あ、うん。バイバイ」

双子たちと別れ、眠ってしまった臨也と二人だけになってしまった心亜。ゲームの電源を切って、ふぅ、とため息。
臨也に目を落とすと、少し顔が赤かった。
こんなのでも風邪引くんだな。
そう思いながら、闇医者新羅が来るのを待った。



(風邪だね)
(とりあえず治療を)
(薬なら出せるけど)
(いやもっと、注射とか座薬とかで静かにさせてほしいんだ)
(寝かせればいいんじゃ?)
(そのためにだよ)
(あ、なるほど)



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -