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「私は君を助けることができるけどどうする?」
「…え?」

イヤホンから伝わった心亜と花園美咲の声に、跡部は固唾を飲んだ。
今、まさに賭けの真っ最中だった。

「助けてあげようか?」
「……」

美咲、頼む。

「君を前いた位置に戻してあげる」
「…本当?」

美咲、美咲、

「でも、その変わりテニス部を見捨てて裏切ることになるけどね」
「!」

小さな悲鳴が聞こえた。躊躇ったという証拠だ。跡部は少なからず安堵した。

だが、心亜の言った通り、人間は欲が深いのだ。

「仲間だった彼らを裏切るか、仲間だったと思ってたのに君に不埒な行為をした彼らを見捨てるかの、どちらかだ」
「………」


極限状態で聞いた悪魔の囁きなんてものは


「ゆっくり悩んでくれたまえ。返事はいつでもいいよ」
「……助けて、くれるの?」
「あんな事しちゃったけど、私にも良心があるんだ」
「……」


天の囁きでしかないことを


「どうする?」


気づいたときには


「……助けて……!」


もう、手遅れだった。


「そうこなくっちゃ」


そこで一旦音声は途切れた。




『あー、あー、跡部くん聞こえる?賭けは残念だったね。でも安心してね。君の勇姿は忘れない。責任持って花園さんは私が助けてあげるから。どんな手を使っても。じゃ、バイバイ』

それから彼らはどうなったのか。
それはもう、説明するまでもないだろう。


this story is all finished.
この物語は全て終わり。


→あとがき


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