「太子、太子、知ってます!?人間はもとは微生物だったんですよ!」

太子はそれを聞くと、え、と一言呟き、顔をしかめた。

もっと他のリアクションはないのかと、私は太子が何か言うのを待った。
すると一言。

「人間って、神様が造ったんじゃないのか?」
「え、そうなんですか?」
「いや、わからん。でも昔から言われてるんだぞ、この世にあるものは全部神様が造ったものだって」

目からウロコだ。

「う、嘘だ!」
「う、嘘じゃないわい失敬な!」
「じゃあ…二足歩行の花はどうなるの?」
「に、二足歩行の花?なんだその新手の動植物は…。それより名前、なんで私にそんなことを?」
「だって、太子なら驚いて私の冠位を2つくらいあげてくれるかと思ったから」
「なんだそれ…。お前結構図太いな。なんだか日に日に妹子に似てきた気がする」
「それ馬子さんにも言われた。太子なにやってんですか?」

太子はさっきら頬杖をつきながら書物を見ていた。
私は太子に近づき、その書物を覗き見た。

「なにこれ、官能書物?」
「違うわい!」
「え、じゃあなんですかこれ」
「それがなあ、私も字が汚くて読めんのだ。ただ、ここに『神』と『地』『海』とだけ書いてある」
「んん?…本当だ」
「なんかの神話っぽいからなあ。きっと神様がこの世界を造ったみたいなことが書かれてるんだろう」

さっきの太子の意見そのまんまだった。

「太子、神様信じてるんですか?」
「日本は八百万の神様があーだこーだ言われてるし、私はいると思ってるぞ」
「えー、マジですか。じゃあ本当に神様が私たちを造ったって思ってるんですか?」
「微生物なんかよりそう考えたほうがロマンチックじゃないか」

確かに。

「じゃあ、やっぱりこの世界は神様が造ったんですね太子!」
「そうとも!私たちは神様の創造物なんだ!」
「わかりました!じゃあ妹子にも教えてきます!」
「待て名前!私も行くでおま!」

太子は読んでいた書物を放り投げて、私を追ってきた。
あれ大切な書物なんじゃないのかな。いいのかな。




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