なぁ、もし、俺がお前を好きだって言ったら、お前どうするよ。



そのメールをみて、私は硬直した。「…は?」である。もうそれ以外のリアクションが見つからない。
いや本当に。どうした、なんだこれ、え、え?

送信者の名前は田畑ヒデノリ。そりゃ当たり前ださっきまで普通にメールしてたんだから。
いきなりすぎるよ、しかも…え?好き?なに好きって。ヒデノリって、私をそんな目で見てたの?

するとまたメールが来た。ヒデノリからだ。
何事かと思ってメールを開くと、



すまん、さっきのメール、無視してくれ。
とりあえずさ、お前は異性に好きって言われたらどうする?



と書かれていた。

すまんってことは、まぁ、正気に戻ったんだろう。
しかしヒデノリと恋バナするなんて思わなかったな。どうしたんだろ、急に。



うん、おK。
とりあえず私は返事は保留にしてもらうかな。

っていうか急にどうしたの?
告白すんの?



バレない程度にさりげなく探りを入れてみる。あのメガネが恋だなんて、と思ったけど人間は日々成長するし、男子高校生が恋の一つや二つしたっておかしくない。
あ、返信きた。



成る程な。

告白はこれから考える。お前に聞いたのは参考までにだ。
ちなみに、保留してOKする確率ってどんくらい?



随分深く聞いてくるな。



好きな人なら8割以上。
それ以外なら五分五分かなぁ。



まぁ、実際告白されたことないから現実味がないけど。まず第一、なんで私なんかを参考にするのかな。

っていうか、ヒデノリの好きな人って誰だろ。河川敷で会ったっていう面白い人かな。それとも、電車が同じだっていうホクロ毛の子?
あれ、なんかヒデノリって結構出会いがあるな。うわ、意外。

意外、だけど。なんだか寂しいような複雑なような、モヤがかかる。

「…ま、いつまでも子供じゃないしね」

納得しそうな言い訳を呟いた。返信が遅い。何やってんだあいつめ。ふぅ、とため息をついて枕に顔を埋めた。

その直後鳴った携帯電話。着信だった。相手は勿論、ヒデノリ。
恐る恐る通話ボタンを押して耳に当てた。

「…えーと…もしもし?」
『よう、もしもし俺だけど』
「あー、うん。どうした?」
『メールの続きなんだけどさ、俺ならオッケーの確率、何パー?』
「え…」

会話が止まった。私は再び硬直した。

電話の向こうで、ヒデノリはどんな表情をしてるんだろう。

『お前は鋭いからわかったと思うけど、俺、お前が好きなんだよね。結構前から』
「え…あ…ありがとう」
『ん。一応さっきの告白な。…まぁ、とりあえず返事待ってる』

じゃあな、とヒデノリの声。

ちょっと待って、と私の口が勝手に動いた。

「オッケーの確率、だよね」
『…?ああ、そうだけど…』
「ヒデノリなら、9割行くよ。だから、その、返事、期待してて」

え、とヒデノリの声がしたけど感情に任せて電源ボタンを押した。
部屋の静けさが増した気がする。
顔が赤いのが本当によくわかる。

「…返事、いつしよう」

すると携帯電話がまた鳴った。
何事かと思って手にとってみると、ヒデノリからのメールだった。



さっきのマジ?
本当に期待してるから、俺。



ああ、もう。空気を読め。




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