真選組ご一行が広間を貸し切り派手な宴会をしていらっしゃる。
女将の私は他のお客様を相手しながら、真選組の皆さんに料理を運んだり話し相手になったり。
しかしまぁ、宴もだいぶ盛り上がっているようで。今日はどうしたのかしらね。なにかおめでたいことでもあったのかしら。

「おー女将!アンタもこっちに来てくれ」
「はい、ただいまぁ」

局長さんが赤い顔で私を呼ぶ。だいぶ酔いが回ったのかしらね。

局長さんの隣には、副長さんも他の隊士さんに酒を煽られながら、真っ赤な顔。酒豪ねぇ。

「それにしても局長さん、今日はずいぶん盛り上がっていますねぇ」
「そりゃあ今日は、我が真選組鬼の副長が生まれた日だからなぁ。コイツは嫌がったんだが、たまにはこう華やかなのもいいだろう。なぁ、トシ?」
「あぁ…」

副長さんはおちょこを一気飲み。局長さんはがははと笑って目の前の刺身を箸でつつく。

「副長さん、お誕生日なんですか。おめでとうございます」
「あぁ…」
「私共もサービスしなきゃいけませんねぇ。何かお作りしましょうか?」
「いや、いい…」
「遠慮するなトシ!ここは俺の奢りだ。あ、なんなら女将も飲んでくれてかまわんぞ!」
「嫌だわ局長さん。私はお酒をつぐのは好きだけど、お酒を飲むのは苦手なのよ」
「ああ、なら丁度いい」

あら、副長さんが局長さんを腕で押しのけ、私にグラスをつき出してきた。何かしら。

「男ばっかにつがれて参ってたところだ。ここらで口直しで、女のつぐ酒飲むのも悪かねぇ」

酌してくれねぇか、と副長さん。
あら嫌だ。私なんかでいいのかしら。

「私でよければ。さすが鬼の副長さんね。大酒飲みだわ」

と私が返すと、副長さんはニヤリと笑って酒瓶を私に。
蓋を外して丁寧にお酒をつぐ時副長さんをちらりと見たらびっくりしたわ。
だって、ずっとこっちを見てるんですもの。目があってしまった。

「…どうぞ」
「…ああ」

嫌だ。なんて色っぽいのかしらね、この人は。
ニヤリと笑って、また一気に飲みほす。なんて豪快なのかしら。

「…アンタ、綺麗だな」
「…え?」
「色っぺぇ。こんな美人がいたなんてなァ」

語尾がのびてるところからして、この人、だいぶ酔っ払ってるらしい。

私が苦笑いをすると、副長さんは私の手をとり、綺麗な手だな、と呟く。
あらやだ困った。私、触られるとコロッといっちゃうのよ。

「副長さん、女性を落とす時はね、もっと殿方からアプローチしなきゃならないのよ?」
「その必要はねェよ。アンタは、必ず俺に落ちる」

思わず目を見開いてしまった。なんて大胆なの、このお方は。

「さぁ、酌の続き、してもらおうか。拒否権はねぇぜ?なんたって今日は、俺の日だからな」

あら嫌だ。
私、本当に落ちてしまいそう。




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