※学パロ



体育祭の時の写真の売買が行われていた。売買と言っても、買うだけの一方的な商売だけども。
いやぁ、青春だねぇ。女の子なんかは好きな子が写った写真なんか買うんじゃないのかな。かくゆうオレも、学生時代にそういのしたなぁ。したっていうか、される側だったけど。

賑わう廊下を多少もみくちゃにされながらも通り抜けて、次の授業への準備へと向かう。
こりゃ、五分どころか十分以上の遅れがでるな、と苦笑いした。
まぁ青春だよね。オレみたいな教師が邪魔しちゃ駄目か。

昼休みはあと少しで終わる。
実験の用意をしようと思ったけどこの様子じゃ実験できなそうだ。せっかく白衣着てきたのになー。

化学室のドアを開けると、一人だけ生徒がいた。

「あれっ、君は写真いいの?」

携帯をいじっていた女子生徒は慌てて携帯をしまった。大丈夫、没収しないから、と言って向かいの席に座った。

「あー…あまり興味ないといいますか」
「苗字らしいねぇ」

そう言うとあははと苦笑いした。
苗字は他の女子たちとは違って、なんというか、合理的だった。悪くいうなら可愛げがない、っていうのかな。まだ高校生なんだからもっと遊べばいいのに。

「でも一応、買ったんですよ。一枚だけ。私写ってませんけど」
「写ってないの買ったの?ってことは好きな人の?」
「いやぁ…今になってなんで買ったんだろうと後悔ですよ。先生いります?丁度先生写ってますよ」

ノートに挟んだ写真を差し出されたので受けとると、確かにオレが写ってた。
オレと河合と鬼男くんだ。はしっこに太子先生も写ってら。本人の言う通り、苗字は入っていない。
苗字はなんでこれ買ったんだろう。

「河合くんにそそのかされましてね…」
「河合に?」
「で、やむを得ず買ってしまいました」

ほうほう。へぇ。河合がね。一体どんな手を使ったのやら。
くすりと笑って写真を返した。

「これは苗字が持ってなよ。実はオレ、この写真持ってるから」
「それは残念。返品できるかな…」
「苗字が河合の写真持ってるとすると、河合は苗字の写真持ってるの?」
「写ってるのがあったら持ってるかもしれませんね」

うわぁ青春だ。見ていて微笑ましいなぁ。
ニヤニヤ笑わないでくださいよ、と苗字に言われてしまった。そんなにニヤニヤしてたかな、オレ。

「先生今日白衣ですね」
「そ。カッコイイでしょ?オレまだ若いからコスプレみたいだね」
「あれ、何歳でしたっけ。閻魔先生」
「ヒ・ミ・ツ。ウッフッフ〜」
「……」
「そんな目で見ないでよ。でも秘密」

苗字は納得してないみたいだったけどそうですか、とだけ言ってまた苦笑いした。

「今日は実験ですか?」
「そうだね。準備手伝ってくれる?」
「いいですよ」

椅子から立ち上がり、俺の後を着いてきた。
白衣のオレと、生徒の苗字が二人だけで準備室へ。
これ端から見たら誤解されそうだな、と思いながらも準備室の鍵を開けた。




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