生まれ変わったら男になりたいと前々から思ってはいたけど、まさか本当に男になるとは思わなかった。
とりあえず、目が覚めたらあるはずもないものがあり、俗に言う輪廻転生とやらをしたのだと私は悟った。そう考えたのは確か、見たことない女性の腕にいた赤子時代のころだったと思う。

私がいつ死んだのかはわからないけど、女だった時の記憶は鮮明に覚えている。たった15年だ。忘れるわけがない。

そして男に生まれて大変だったのが、トイレと風呂と、そして何より恋愛だった。

正直、女である、正確には女だった私が女の子を好きになることなんてできなかった。
確かに可愛い。でも、恋愛対称としてなんて見ることはできない。だって私女だし。
なので私は男子と遊ぶ時は一歩下がった立場にいた。
なんと小学2年生の男子でも自分が今その子と同じ年だからなのか、妙に意識してしまうのだ。

正直、本当につらい。

そして私は現在進行形で男子に恋をしている。

小さい時から家が隣同士だから今でも仲がいい。何をするにも一緒だった。
白い肌だとか、綺麗な目とか、男女問わず優しいところとか、そして私を大切にしてくれたりとか。
大切にすると言っても、あっちは友達として、だろうけど、私は王子様に守られているようで本当に嬉しくて、周助の隣にはいつも私がいる。
それが当たり前だったのに、周助の隣にはいつの間にか女の子がいた。

周助は女ウケがいい顔してるし、彼女の一人や二人いたって可笑しいことじゃない。
私は別に彼女がいたって構わない。だって私が、周助の一番なんだから。

「お前の彼女、またイジメられてるな」
「!名前…」

片思いっていうより、多分しちゃいけない恋愛なんだと思う。
私は男で、周助も男。なんて滑稽なんだろう。

「守ってやれよ、彼氏くん」
「ああ。…本当、許せないよ。僕の彼女に、あんなことするなんて」

教科書は切り刻まれ、体操着は破かれ、靴を隠され、机には罵詈雑言。
周助の歴代彼女は、皆このイジメを体験している。

「なぁ、名前。一緒に犯人、探してくれないかな」
「ん?おお、いいぜ。周助にそこまでして頼まれたらしないわけにはいかねぇしな!」

そう言うと周助は笑った。
ああ、なんてかっこいいんだろう。

教科書を切り刻み、体操着を破り、靴を池に捨てて机に落書きした犯人が俺だと知ったら、周助はどうするだろう。

俺はさ、お前の隣にいたいんだ。だから彼女なんて作るなよ。

目を細めて、周助を見た。

俺は、私は、あなたの隣にいたいだけなのです。




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