テスト勉強中に鳴る携帯ほど厄介なものはない。

「…もしもし」
『やっほー元気してる!?』

無駄にハイテンションなのがうざいっちゅーねん。そっちはテストないかもしれんけどこっちはテスト期間やっちゅーねん。
と怒鳴りたいところだが、生憎彼女からの電話でそんな喧嘩を招くようなこと言えるはずもなく、俺はシャーペンをくるくる回す。
思えば彼女が女子校に行ってしまってから一緒に勉強をする機会というものがなくなってしまった。

「テスト勉強中や空気読めアホ」
『息抜き息抜き!』
「…元気そうでなによりやなぁ?」
『そうでもないよ!あ、でもそれなりに元気だよ!』

どっちやねん。皮肉も通じていない。

「要件ないなら切るで」
『ああっ、まだ駄目!』
「…何やねん」
『あのね、実はね!』

あ、やばい。長くなる。
すると電話の向こうから一方的なマシンガントークが始まった。

今日あった出来事をつらつらと話し、笑い、自分でボケて自分でつっこみ、笑う。
その間俺は適当に相づちを打っていたが、30分も話されればそろそろ限 界もくるもので。

『それでねー…』
「るっさいねん!何やねんさっきからぺちゃくちゃと!ほんまウザい!気ィ使え、アホ!」

言いたいことだけ言って電話を切った。携帯を乱暴に放り投げた。
はー、とため息をつき机に突っ伏した。30分も無駄にしてしもた。ったく…。


1時間が経った。
俺はてっきり電話がかかってきたりメールで「そんな怒らないでよー」とか来ると思っていた。でも違った。全然来なかった。
俺のイライラと後悔がどんどん加速する。
携帯電話を睨み付けた。早く鳴れやボケ。

それから10分後、やっと携帯が鳴り、来たのはメール。「ごめんね」の一言だった。

あーもう、何やねんホンマ。

アドレス帳から名前を見つけ、俺は電話をかけた。

「…もしもし、俺やけど。メール見た。…さっきはスマン、言いすぎた。…今どこや、家?…ちょっと会うてくれん?顔が見たい。…ええて、気にすんな。ええから、今すぐ家出ろボケ」

公園で待っとるから。

そして俺のテスト勉強はおじゃんになる。




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