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その後何度も雅治の他にも一般生徒とかブン太とかにアタックしたものの、俺に気づく奴はいなかった。

そして廊下に寝っ転がってみたものの通行人は俺を気にかける様子もなくただ普通に俺を蹴って歩いたり走ったりしていた。
蹴って、とは言ったけど痛みは全くない。
なんたってすり抜けるんだからね。

はいここで俺の漫画知識の出番です。

多分こいつはパラレルワールド、発音よく言うとparallel world、つまり並行世界なのではと仮説を立てようか。
俺のいた世界とこの世界は…別物。
何らかの力が働いて、俺はここに来てしまった、というわけだ。

「…そうすれば、まぁ納得はいくよなぁ…」

はぁ、とため息をついて、俺は屋上にいた。
とりあえず、なんていうのかな、すげぇ心細い。
知り合いが知り合いじゃないとか、結構キツい。
いや、体すり抜けたりとかちょっと楽しいんだけど…。

携帯は圏外だし、俺を見てくれる人はいないしで…

「…戻りたい、もとの世界に…とかかっこいいこと言ってる場合じゃなくて、アレだ。とりあえず俺が見える人を捜そう」

5分もたたずに俺はまた屋上を出ていった。

そういえば他人から見たら俺は見えないことになってるんだから、扉開けたりとかするのは、他人からは独りでに開いた、みたいな怪奇現象のように見えるのだろうか。

……あ…。

そうか、それを利用すればいいんだ。


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