A
どうやら夢の中の季節は真冬らしく、皆ブレザーの下にカーディガンやらセーターやらを着込んでいた。
そんな中半袖シャツの俺が廊下を歩いている。
誰もそれを気にしていないようだ。
「…誰かつっこめよ」
呟いた。
ひそひそ話もムカつくが、無視されるのが一番寂しい。なんだこれ、誰かつっこめよ。
とりあえず自分のクラスに向かった。
…これ、俺のクラスだよな?
何度もクラス表示を見た。3-Cだよな。俺のクラスだよな?
うん、あってる。
なんで俺がこんなに焦っているかというと、俺のクラスのはずなのに、見たことない奴しかいないからだ。
一番前の芥川の席には真面目そうな女子が座っているし、宍戸の席には宍戸より遥かにイケメンな黒髪の男が座っている。その隣が俺の席なわけだが、なんたることか、根暗な女子が座っていた。
全員、見たことない奴ばかり。
「…なんだ、これ」
入り口で佇んでいるとどこから入ってきたのだろう俺の目の前には女子生徒の後ろ姿があった。
あれ、俺ここにいたよな?隙間?この体とドアの隙間から入ってきたのか?どけっつったらどくのに。
なんだこれ、と思って振り替えると、女子3人が笑いながらこっちに来た。
避ける間もなく、そいつらは教室に入っていった。
俺の体を文字通りすり抜けて。
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