立海

双子の兄、司のせいで、俺は昔から女子に対して失望と苦労でいっぱいだった。


幼稚園の時。
初めて好きになった女の子Sちゃんは誰にでも優しく某子猫ちゃんが大好きな女の子だった。
しかしその子は司が好きだった。

小学二年生の時。
司が体育の時間にサッカーをしてたら女子が「やっぱり司くんかっこいい」と言っていたので、サッカーが上手ければ可愛いあの子も振り向くと思った俺は小学校のサッカークラブに入った。
そこに唯一の女子、Rちゃんがいた。
話もあうし男子っぽく活発だったので、だんだんと好きになっていった。

そんなある日。話がしたいと言われたので二人で帰ることになった。
年甲斐もなくドキドキしているとRちゃんはねぇ、と声をかけてきた。

「司くんってさ、好きな人とかいないわけ?」
「…………」

お前もかよ、と思った。
俺はサッカークラブをやめた。


小学4年生のとき。
隣の席の女子、Nに誘われて、空手教室に入ることになった。
そこでまた恋をした。違う小学校のKである。

Kは俺より先に入っていて、Nと仲がよかった。
4年生は俺達三人しかおらず、結構仲良くやっていた。
夏の合宿で一緒に花火をして、Kと二人だけでホタルを見たのはいい思い出である。

ある日。俺の着替えを司が届けてきてくれた時。
これはまた同じパターンになるのではないかと思い、Kが来る前に早々に司を追い出した。
が、いいタイミングでKと鉢合わせ。
しかしKは司を見てもなんのリアクションも取らなかった。もしかしていけるのでは、と俺は確信した。

「ほら帰った帰った!」
「ああもういてぇよ!…ってかさっきの誰?」
「えっ…ああ、Kって言うの。5小の子」
「ふーん…。可愛いじゃん」

地獄耳。司の一言をKは聞いていたらしく、Nに司のことを聞きまくり、また俺にも司はいつ来るのだとか聞き出す始末。
ついにはKは空手をやめて、司の通っているスイミングスクールに通いだした。
しかも、Kは俺のことが好きだったとNから聞かれ、俺は笑いながら泣いた。


小学校の卒業式!

男子校に通うことが決まっていたので彼女が欲しかった俺は、思いきって幼稚園の時好きだったSちゃんに告白しようとした。ら、Sちゃんは違う男子に告白した後で、しかもフラれて女子数人に囲まれながら泣いていたので俺は流石に空気を読んだ。
しかもその相手は司だった。戦わずして負けたのである。


まだまだ続くよ!中学生の時。

市民アリーナで卓球の大会があり、Nと再開した。Nは女子中に通っており、空手部に入っていていた。
N以外にも俺がいた小学校からは女子は数人その女子中に行っており、その女子が俺達二人を広めたらしく、「楽内一中にはかっこいい双子がいる」ともっぱらの噂だという。

「あたしの友達がお前のメアド欲しいってさ」
「え?どんな子どんな子?」

ってな具合に、Nに女の子を紹介してもらい、家に帰って早速メールをした。
しかし開始20分で

『お兄ちゃんのメアド教えて

と来たので、俺は速攻メアドを代えて、以後その子とメールをしなくなった。


つまり俺の恋が成就したのは小学4年のKの、あの淡い一時だけだった。成就したかも微妙だ。
俺が好きな子はいつも司が好き。
司が好きな子は別に俺のことが好きなわけじゃない。



わけわかんないんだけど。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -