立海

七条楓。北海道からやってきた転校生。
軽すぎずウザすきず、世渡り上手で親しみやすい性格が高じて、立海のイケメンランクに転校生にも関わらずランクインし、今まで人気だったサッカー部の広瀬くん、オケ部の水岡くん、テニス部の仁王、幸村からファンを根こそぎ奪いとるものの玉座には届かず。
その控えめさが従来の立海男子とは違うと話題になり、日々ファン層を増やしている。

容姿は上の中くらいだし、仁王と丸井と一緒にいると引き立て役みたいに見えるし、「マジ七条くん王子様!」なんてほざく女子は馬鹿みたいと思ってた。

どうせあんなの頭はすっからかんなのよ。
みんなに見せてるのはうわべだけの笑顔。裏ではなにやってるかわかったもんじゃないもの。


(あんなのが王子様なわけないじゃん。馬鹿らしい)


そんなことを思っていた矢先、私と彼を結びつけるような出来事が起こった。

それが起こったのはあの昼休みのことだった。


「楓の好きなタイプってどんな?」
「え?俺?なんで?」
「興味本意。つか、お前彼女いんの?」
「彼女はいないけどー…。好きなタイプかぁ。んー…外見はこの際置いといて、中身でいうなら、サバサバしてて少し冷めてて、でも女の子っぽい子がいいなぁ」
「はぁ?なんだよ女の子っぽいって」
「いやホラ。アレだよ。いわゆるギャップ。普段あんな冷めてるのに好きな色はピンクとか、コーヒーじゃなくてキャラメルラテを飲むとか、携帯の待ち受けはペットとか」
「なんっじゃそりゃ」


偶然聞いた丸井と七条楓の会話から導き出された答えそれは――


(私のことじゃん!!)
↑「冷めてるね」とよく言われる、好きな色ピンク、コーヒー飲めない、待ち受けは愛犬


つまり、彼と私は、まぁ私は不本意だけど、つまり、アレだ。


運命の人、というわけよ。




「…なんて馬鹿じゃないの!?運命なんてない!あるのは必然だけ!そうやって今後(男)のチャンスを、あの七条楓ごときで棒にふるつもり!?でもっ…、でも、あっちが私を好きなら…好きになってやらんこともない…かな…」

あれから毎晩、私浅尾ユリコは、七条楓について自分自身を尋問にかける日々を送っている。



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