立海

罰として先輩の手伝いをすることになった俺。副部長に殺されるよりだいぶマシだ。

「なんか七条先輩って変わってるっスよね」
「あー、確かによく「こんな奴だとは思わなかった」って言われるよ。真田にも言われた」
「マジですか。それ相当ですよ」

最初にあった時の七条先輩のイメージと、今のイメージは全く違う。最初、外見だけを見て真面目そうだと思った。
でも関わってみるとそうでもない。仕事する時は真面目だけど、普段は普通の男子生徒と何ら変わらない。


「なぁ知ってるか?女って月イチで重い日があるんだぜ」


そう言った時は流石にビビった。まさかの下ネタだった。
それからちょくちょく会話をしてみるにつれ、あ、この人可笑しいなって思いはじめた。
ある意味馬鹿な天然。

「そういや赤也って付き合ってる人とかいないの?」
「いきなりっスね。いないっスよ。ってかいたら真田副部長に絶対怒られるし」

本当にいきなりで困るこの人は。前なんて…あ、いやいいかこれはまた後で。

「いやいや恋愛は自由だよ」
「そーいう七条先輩はどうなんスか?だいぶモテるって聞いてますけど」
「えー俺?俺より雅治なんかのほうがモテてるよ」
「あー、仁王先輩マジでモテてますよね。確かにイケメンだけど、それなら七条先輩だって負けてねぇっスよ」

照れるなぁと言いながら若干作業のスピードを上げる先輩。どうやら満更でもないらしい。

「じゃあ手っ取り早く、俺と雅治の違いをあげてみよう」
「えーと…。髪の毛?」
「ああ確かにね。やっぱり女子は茶髪とかそういった色素薄いほうが好きなのかな?」
「なら丸井先輩なんかは?あの人珍しい赤毛っスよ」
「いやー、ブン太は普通にかっこいいと思うけどな。似合うし」
「そりゃまぁ」
「あと雅治ってテニスしてるくせにめちゃくちゃ肌白いよね」
「あー、だってあの人試合以外半袖にならねぇし、夏場も長袖っスよ」
「ああ、冬でも半袖短パンな小学生みたいな」
「あってるっちゃああってる」
「じゃあ俺も髪伸ばして色白になったらモテるかな?」
「発想が極端すぎません?」
「あ、そっか。決め台詞が必要か」
「どっから来たんですその発想」
「いやだって、雅治よくプリとかピヨとかブリとか言ってるじゃん」
「ブリは言ってねぇっスよ」

いや、言いそうだけど。

「俺も決め台詞ほしいな。「真実はいつも一つ!」みたいな」
「あー」
「でも本当はそうやって何でも一つにしたがるから裏で涙を流す人もいるってことを忘れちゃいけないと思うんだ」
「決め台詞の話っスよね?」
「あ、そうそう。真田は「たるんどる」、柳は「〜の確率が〜%」。赤也はなんだっけ。「つむじ」?」
「ボケ倒すの勘弁して下さいマジで!ツッコミが追いつかねぇ!」
「あっはっは。「潰す」だよね。あ、そういえば昨日のロンハー見た?」
「話の主旨がだいぶ違う方向に行ってるんスけど」
「あ、洗濯機見てこないと」
「ああ、やっとくんで行っていいっスよ」
「おー、ありがとう」

そう言って七条先輩は「洗濯機洗濯機」と言いながら走っていった。
相変わらず変な人だな。ってか、何の話してたんだっけ。



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