立海

部活中
雅治はいつものように柳生と入れ替わり、ジャッカルとブン太相手にテニスをしている。
相手になりすますあいつを、皆こう呼ぶらしい。

「コート上の詐欺師」

まぁ俺から言わせれば

「「厨二マジ乙ww」みたいな」
「本当に友達なんですか先輩たち」

赤也は冷静につっこんだ。



「いやだって「詐欺師」と書いて「ペテン師」って読むんだよ?そんなんもう「闇の訪問者」を「ダーク・レジスター」と呼ぶくらい痛いよ」
「レジスターは記録者だぞ」
「おわっ、柳先輩!」

いつのまにか背後に柳先輩がいた。こわっ、いつ来たんだ!
七条先輩がニマニマ笑いながら柳先輩に話しかけた。

「おや柳くんが来ましたよ。なんでしたっけ君の源氏名」
「通り名だろう」
「柳先輩は達人っすよね!」
「ぶはっ、マスターて。え、なになにカクテルでも作ってくれるんですか?」
「馬鹿にしてるだろうお前」

一瞬黒いオーラが出たのに七条先輩は気にせずヘラヘラ笑う。この人すごいな。

「いやいや、柳にあってると思うよ?真田の「皇帝」に比べたらピッタリだよ」
「え?変っスか?」
「えー。だって、皇帝って中世ヨーロッパで活躍した白馬なんかに乗ってマントをひるがえして兵士を引き連れるような感じだけど、あいつは違う。武将だ武将。重い甲冑身に付けて腰に刀つけて足軽引き連れるような」
「言わんとすることはわかったがお前の説明はどうかと思うぞ」
「たしかに副部長、武将っぽいっスよねー。あの人にマントとか似合わないし」

あ、そうだ、と七条先輩が何かに気づいたように言った。

「この際だから真田のあだ名「足軽」にしない?」
「皇帝からいきなりランク下がったな」
「じゃあ「落武者」」
「仮にも俺らの副部長っスよ!?嫌っスよ俺らが恥ずかしいっス!」
「いーじゃん、幸村の「神の子」がよりいっそう神々しく感じられるし」
「副部長お飾り!?」
「可哀想すぎるだろう」
「えーいいじゃん。俺の友達なんか苗字が「勝俣」だったから「半ズボン」とか呼ばれてたし」
「いやまぁそれよりはマシだろうけど…」

なんて可愛そうなあだ名。

「あとねー、ある日弁当開けたら白米だけでね。真ん中に梅干しがポツンとあって。その日は一日中「日の丸」って呼ばれてた奴とかいた」
「イジメじゃないのか?」
「柳は達人以外になんかないの?あだ名。「糸目」とか呼ばれたりとかしてないの?」
「ない。…だが、小学生の頃は「教授」と呼ばれていたな」
「教授…ッスか?確かに雰囲気はあるっスね」
「今は呼びあう奴もいないがな」
「へー…。…ああ、俺小学生の頃は「札幌ラーメン」って呼ばれてた」
「雰囲気が台無しッスよ」
「…ちなみに何故だ?」
「札幌ラーメン食べ過ぎて下痢しちゃってあはは」
「あははで済むんですかソレ」

そういえばこの人、道民なんだっけ。


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