立海

「えー、はい。ではでは。俺が立海男子テニス部のマネージャーになり3週間になりました。ではそれを祝してカンパーイ!!!」
「いや違えだろぃ!!幸村くんのテニス部完全復帰だろ!!」
「おめでとさん幸村」
「あはは、これからも頑張ろうね。じゃあついでに七条のマネージャー3週間突破も祝おうか」
「ついで!?俺ついで!?」
「いや、七条もよくやっている。主役は二人だ」
「わーい。じゃあ、じゃんじゃん歌おう!!じゃんじゃん食おう!!真田の奢りだし!!」
「な!?」

全員でゴチになりまーす、と言ってメニューを開いた。
と、いうことで。
幸村完全復活と、楓のマネージャー記念を祝して、カラオケで軽い打ちあげをすることになった。真田の奢りで。


「よっしゃーハメはずすぜ!ジャッカルー、英語得意だよね?」
「ああ、まぁ」
「レディガガ歌ってよ」
「曲のチョイスおかしいだろ。なんでよりによってレディガガなんだよ」
「洋楽ってもっといっぱいあるじゃろ」
「えー、じゃあジャスティンビーバーいっちゃう?」
「俺曲知らねぇし」
「なんだよつまんねーな。普通こういう時って空気読んで事前に洋楽とか調べるでしょ」
「悪かったな」
「そういう七条はなにか歌わないのか?」

柳の一言でジャッカルに絡むのをやめた。

「え、歌っていいの?」
「俺たちあまりカラオケこないし、まだ曲選びに時間かかりそうなんだ。先歌って」

幸村が雑誌を渡すと、楓はペラペラとめくった。

「楓が歌うのって初めて聞くかもなー」
「あっはっはー、俺結構上手いよ?そりゃもう立海のコナンと自負されているくらいに」
「ド音痴じゃねぇかよぃ」

ブンちゃんの言葉を無視して転送をし始める楓に、俺は少々不安になっていた。
幸村はニコニコ笑っていて、真田は雑誌とにらめっこ、参謀はノートを用意して、赤也はコーラを飲んでいる。
俺とブン太と柳生とジャッカルだけが不安げに楓を見守る。何歌う気だ。
転送し終えたのか、楓はよいしょ、とその場に立った。
いつになく真面目な顔をしている。

「…何いれたんだよぃ?」

ブン太が呟き、全員の顔があげられ、テレビ画面に目を落とす。すると数秒後、



どっこい食品

ハロー大豆の歌


作詞作曲
どっこい大作




と出た。
瞬間、部屋に妙な緊張感が漂った。
そんな空気を読んだのかいや多分読んでいないんだろう楓はマイクを持つ右手の小指を立てた。
すると軽快な音楽が流れ出す。うん、取り敢えず、聞こう。
説教はそれからだ。
楓が息を吸った。

「とーちゃんもじーちゃんもばーちゃんもー」
「ブフッ!!」

赤也がコーラをふいた。吐いたと言った方が正しい。楓はお構い無しに歌い続ける。

「タカーシくんも、マンードリルも」
「ブフッ」

幸村の腹筋が崩壊した。

どうやらマンドリルがつぼったらしい。っていうかマンドリルって何じゃ。いや、「タカシ」って誰じゃ。
しかし楓は続ける。

「ブードキャンプにいーくのならー、豆喰え!!豆ェ!!」
「ブハッ!!」

ブン太が噴き出した。
ちょっと真田に似ていたところがつぼったらしい。

「モーリモリかーらだがつーくられるー






壮絶な…色気ェ……」
「ブフッ」

参謀が口に手を押しあて、必死に笑いを堪えていた。

「まーめははーたけのおーにくなりー」

じゃん、と音がして演奏が終わった。
ドヤ顔で歌い終えた楓。腹筋崩壊の面々。絶えぬ笑い声。爆笑の渦だった。
赤也に至ってはソファーに埋もれて腹抱えて笑っている。
ジャッカルと真田はポカンとしていた。
俺と柳生は呆れて物も言えなかった。

「次、誰歌う?」

いや、その前に、
さっきの歌、なんじゃ。


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