立海

「……」

楓がクラスの一角にいる女子数人を頬杖をついて見ていた。

好きな女でもできたのか?

「…なぁ楓」
「んー?」
「何見てんだよぃ?」
「あー、女子の制服」
「制服?」

女子の制服…あ、そっか。こいつ男子中にいたから、女子の制服って見慣れてねーのか。
やっぱり新鮮なんかな。

まぁここの女子の制服、スゲェダセーけど。

「あのさぁ、ブン太」
「んあ?」
「女子の制服、ダサいよね」
「あ、やっぱりそう思ってたんだ」

やっぱりな。
その楓の一言で、女子が一瞬こっちを見て、ちょっとビビった。



立ってるのが面倒だったから、楓の前の席に誰もいなかったのでそこの席に座った。

楓はうー、とかあー、とか項垂れながら机に突っ伏した。

「共学とか言うからさァ、夏場とか下着透けて見放題ーとか思ってたのになんだよコレ、騙されたわ」
「お前そんなこと考えてたのかよぃ。最低だな」
「前の学校野郎ばっかだったからそう思うのも仕方ないじゃん」
「まぁそうだけど…」

顔を上げ、なぁブン太、とわりと真剣な目で俺を見た。
あ、下らねーことだ。すぐわかった。

「なんでこの学校、プールも男女一緒じゃないわけ?」

ホラ見ろぃ。

「知るか。そういう方針なんだろぃ」
「雅治がいるから?」
「お前仁王を何だと思ってるんだよ」
「え、問題児?」
「違うの?みたいな顔されても困るんだけど」

実際そうだからどう答えていいかわかんねぇんだよこっちも。

楓はまた何か思い付いたように唸った。

「まぁでも女子の制服なら、俺はYシャツの腕捲りに紺のスカートがいいなぁ」
「マニアックだな」
「七分丈くらいに折って、シャツは中にしまってほしいな。んで、スカートは膝よりちょい上の黒ソックス」
「聞いてねぇよ。そして細けぇよ要望が」
「ブン太は制服に思い入れないの?」

なんでそんなこと聞くんだよぃ、俺まで変態だと思われるじゃねぇか。
女子からの視線も痛ぇし!

なに?男子中ってこんな話ばっかしてんのかよぃ。

「…よくわかんねぇけど、セーラー服って見たことねぇな、俺」
「へー。実際暑いらしいよアレ。スカート長いし、スカーフも面倒だって」
「なんで知ってんのお前」
「聞いた」

意味わからん。

「一中と対になって、近くに女子中があるんだよ。そこに友達いて、聞いた」
「女子の?」
「男子だったらやばいっしょ」
「…そりゃそうだ」

友達、というワードにまた女子が反応した。

…このクラス、楓好きな奴多すぎだろぃ。

「セーラー服って似合う人と似合わない人がいるよね」
「見たことねぇからわかんねーっつの」




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