立海

「第一問」
「おー。どんとこい」

この前とは違い、今度は俺が英語の教科書をペラペラめくる。
実は楓は頭がいい。日頃の行いが馬鹿なせいでそうは見えないけど予習だってやってきてるし、豆テストも満点合格。
でも、英語は苦手意識があるらしい。

「じゃー…『彼女は彼より背が高い』」
「…シーイズターラーザンヒム(she is taller than him)?」
「…まぁ、言いたいことはわかるし、あってんだよ。あってんだけども、違う」
「えー…ハイヤー(higher)?」
「違えなんか遠ざかってる!もう一声!」
「えー…あっ、ハイレスト(highest)!?」
「だから違うっつってんだろぃ!」

七条楓は英語の読み方が、雑。

ちなみに答えは『she is taller than him』で、『taller』の発音は『トーラー』である。
tallもhighにも高いという意味があるが、tallは背丈が高いとき、highは建物等を見上げる場合に使うということを覚えておくといいかもしれないが確証はないのでやはり各自が調べておいたほうがいい。



どこがおかしいのか指摘すると楓はああそこね、と納得した。

「…お前、英語読めねぇの?」
「違う、それは違うよ。読む気がないの」
「駄目じゃんか。今回のテスト、発音とアクセント問題出るっつってたぜ?大丈夫かよぃ」
「ま、大丈夫大丈夫。ああいうのは勘でいけるから」
「…ちょっと『来る』の活用変化言ってみ」
「ケイム(come)カム(came)ケイム(come)」
「逆だよ馬鹿」

正しくはcomeはカム、cameはケイムである。

「他人のことなのに不安になってきた…」
「やだ俺の心配だなんて優しい」
「あのさぁ、言っとくけど、40点以下は追試だかんな!?でもって、幸村くんの説教だかんな!?」

もうあんな思いはしたくないブン太はその甲斐あってか追試をことごとく免れていた。

「大丈夫だって!ワークの問題と授業中のプリントからしか出ないんでしょ?暗記すりゃ平気平気」
「いや本当に!幸村くんの説教はつらいからな!?なんか、自分が物凄く申し訳なくなってくる」
「うわ、すげぇ破壊力。一回の説教でそこまでライフゲージ削る幸村の説教とか聞いてみたい」
「いや、本当につらい。っていうか怖い」

テニス部名物「幸村部長の説教」を是非聞いてみたい女子がいるとかいないとか。
つまりそれくらい有名なのだ。怖いことで。

「…じゃあ『考える』の活用変化言ってみ」
「スィンク(think)、ゾウハトゥ(thought)、ゾウハトゥ(thought)」
「ソート(thought)だ馬鹿」

こいつやばいなと思ったブン太であった。


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