氷帝

「男同士でカラオケってどうなんだろうな」
「またお前は場の雰囲気を下げるようなことを…」
「侑士何歌う?津軽海峡冬景色?」
「曲のチョイス!」

俺たちは今、カラオケに来ています。
俺たち言うても、4人だけなんやけどな。


「確かに名曲やけど!もっと男声のにしてや、低いやつ」
「え、もう入れちった」
「消せ」
「いーじゃねぇか、歌えよ。俺まだ入れてねーし。時間もったいないだろ」
「えー…」
「ほら忍足、マイク」

宍戸に促され、しぶしぶマイクを受けとる。
ちなみに宍戸はさっきまでオレンジレンジのO2を歌っとりました。早口のとこ噛んでたけどな。


「上野発の夜行列車降りたときからー…」

と、俺が歌ったとたん岳人と宍戸と七条が吹き出しやがった。自分等が入れたんやろ。今に見てろよ。このエロヴォイスで高得点狙ったる。
と、意気込んでるとサビにのしかかった。
よしきた!

「さーよならーあなたー、私はー帰りますー…凍えそうなカモメ見つめ泣いていました、嗚呼ー…、津軽海峡ー、ふy」
「腹筋崩壊のため強制終了!!」
「オイコラ!!ここまできたんやから歌わせろや!」
「馬鹿かお前。これ以上こぶしのきいたお前の歌聞くこっちの身にもなれよ。殺す気か」

七条が目にたまった涙をふきながら言った。

「ムービー録ったぜ!!」
「宍戸お前なんてことを!」
「これ忍足ファンに見せようぜ」
「やめてや!」
「これ見てもまだファン続けるなら本物のファンだな」
「なにその判定!あーもう、いいから七条歌えや。ホラ」
「あー、ハイハイ。やっべ、腹痛ぇ」
「何入れたんだよ?」
「多分お前らの知らない曲だな。ちなみにこれも笑うやつは笑う曲だ」
「いつからネタ曲合戦になってん」
「うーし、じゃあ久しぶりに歌うか」

そう言って立ち上がり、画面に出た題名は



カレーの歌




・・・?

でも俺だけポカンとなってるみたいで、岳人も宍戸も笑っている。え、何やこれ俺がおかしいん?
いや…え?だって何、カレーの歌って。みんなのうた系のやつ?え?めちゃくちゃネタ曲やん。何やコレ。
そんな戸惑う俺の心境など知ったこっちゃないと七条は歌い出す。

「すべてーは愛のターメ(ル)イック、ハラハーラハラペーニョ〜」

岳人と宍戸が声にならない(できない)笑いをして、腹抱えて笑っている。
俺は駄目や。呆れてる。
っちゅーかこれぞまさに歌のチョイス!!ファンが泣くで!もっとかっこええの歌えや!

「泣かれちゃやだもん、シナモン、カルダモン、無理かパプリカ…ら…ららららー」

しかもうろ覚えやん!!覚えてから出直せや!!
ハラハラしてると七条はらららでなんとか最後まで繋いだ。
ちゃんと決めてや、お前結構人気やねんから…。

「美味しいカレーの出来上〜がごほっ!気管に何かが」
「グダグダやん!!」

突っ込まれずには、いられなかった。


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