立海-2「お前ひどいよ。ジョークじゃんか。ちょっとした出来心じゃん」
「なんかイラッてしたからよ」
不安になった俺と柳生は2人のそばに寄った。
「正解は、 ものや思ふと 人の問ふまで ですね」
柳生が眼鏡を押しあてながら説明する。それを聞いて楓はああそれそれと言ったけどこいつ絶対わかってないな。
「どういう意味なんじゃ?」
「恋をしていたのが顔に出てしまっていたらしく、色んな人に知られていた、みたいな感じです」
「お前の答えと一つもかすってねぇな」
「いやいやいや、
「やべっ、恋しちまったぜ!」
↓
「えっ、何、お前ら知ってんのかよ!」
↓
「はぁ!?お前もあのこ狙いかよ!」
↓
「モブキャラなんかに渡さねぇ!!」
みたいな」
「お前の脳みそどうなってんだ」
逆にその発想力はすごい。人間そこまで考えられん。
「っていうか大体、百人一首って古典の勉強みたいで嫌い」
「古典の授業の一環ですからね」
「お前さん暗記得意じゃろ」「暗記得意っつってもね、覚えようとしなけりゃ覚えられないもんですよ」
はぁ、とため息をつく。珍しいなこんなにやる気がないなんて。
「変にやる気ないなお前。そんなに古典嫌いだったか?」
「古典っていうか…。百人一首が嫌い」
「?」
「小さい頃にさ、百人一首やったことがあるんだよ。でもその時は上の句を読んで下の句を取る、ってルールもしらなかったからさ。小一時間読まれた句が書かれた札を探しまくってたんだよ」
「うわぁ…」
なんて無駄な労力。
「昔の話さ。なんかそれっきり、百人一首なんてものに関わらなかったんだけど、中学に入って百人一首の勉強して、あ、下の句を取るんだ!ってわかったんだよね」
「遅っ!!」
「意外ですね…」
「でさー、その小さい頃その百人一首が理由で女子に嫌われちゃったんだよね」
「待て待てまて。急にわからない」
「いや、その百人一首ウチにあったやつで、俺が読み手だったんだよね。学校終わったあとだったから大人数でやってたんだけど、さっき言った通り小一時間、あるはずもない札探してたから「楓くんちつまらない!もう遊ばない!」って帰り際言われた」
「そりゃ何か…ひどいな」
「カルタみたいなものだと思ってたんですね」
「時に酷じゃの、子供って」
「だろー?」
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