16-1

「…みきな、平気?」
「…多分」

香さんが心配そうに私を見守ります。どうしたのかというと、まぁ、偏頭痛です。
私はよく頭が痛くなったり、突拍子もなく咳き込んだりとかしてしまうという実に嫌な体のつくりをしています。最近そんなことなかったので油断していましたね。迂闊でした。

「平気?なんか食べる?保健室は?」
「…大丈夫です」

頭を打ち付けられるような痛み。うう、痛い。

「…これはアレね。恋煩いとかそんなヤワなもんじゃないわね」
「めんどくさいのでつっこまなくていいですか」
「ったく、いいから寝なさい。でっかい独り言だから」
「……」

香さんが差し出したブランケットを枕代わりにして、ブランケットに顔を埋めました。
ああ、ふかふか。本当に寝てしまいそう。

「合宿の時平気…?ちゃんと薬持って行きなよね」
「はい」
「…!あ、ごめん、ちょっと行ってくる」
「どうぞ」

ガタガタと椅子をひく音がして、香さんはどこかに行きました。
眠気に誘われ瞼を閉じると、自然と痛みがひいていくような。
ええ、単純なんです、私は。



教室に入ろうとしたら暁が現れ、ちょっと来なさいと言うと俺の腕を掴み階段の踊り場に連れてこられた。
なんだコレは。カツアゲでもするというのか。

「…何の用だ」
「あんたのせいでみきなの病状が悪化した」
「!佐鳥が…?」
「正確には、あんた達のせい、で。テニス部の合宿に行くから、あの子、あんたが思ってるより頑張ってるんだから」
「…無理させてたのか?」
「多分。知らないだろうけど、みきなは体弱いの。…だから、日吉!」

ビシッと俺を指差す暁。

「あんたをみきなの救護係りに任命する!合宿中、絶対あの子を見てて!」
「ッ…!?な、そんなことしたら誤解されるだろうが!」
「今さら何言ってんのよ。あんたがみきなをどう思ってるかなんて見りゃわかるっての。嫌ならいいよーんだ。鳳に頼む」
「なんで鳳っ…」
「るっさいわねぇ、みきなを合宿に連れていく今、あんたしか頼める奴いないの!大体あんたにも責任感くらいあるでしょ!」
「…確かに、なくは…ない」
「でしょ?じゃあよろしく!」

一方的に頼まれ、丸くおさめられた。…ぶっちゃけ、暁には敵わない。
ああ、クソ。なんでこんな奴が佐鳥と仲がいいんだ。

「で、今あの子頭が痛いって言ってるから、よろしく」
「今日から!?いくらなんでも早すぎるだろ!」
「だから大分体力消耗してんのよ!文句言わずノートくらい取って「大丈夫か」くらい言ってやれ」
「…まぁ、それくらいなら」
「わかればよろしい」

なんでこいつこんな上から目線なんだ。


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