06

「…じゃあ放課後部室に連れていくから…。逃げるなよ」
「…逃げませんよ」

あれから日吉くん、なんだか冷たいです。

今昼休みなんですけど、日吉くんは前の席の男子とご飯を食べ終えた後、すぐに教室を出ていってしまいました。
いつもなら読書をしているんですけどね。
なぜ知ってるかって?席が隣だからですよ。

だから香さん同様に変な目で見ないでください。

「みきなってできた人間だよね〜」

何ですか急に。

「日吉って結構かっこいいじゃん?それにクラスの中じゃモテるほうだし」
「へぇ」
「そんな日吉と隣の席になったのに、みきな全然動じてないよね」
「…」
「…っていうかさ、みきなの好きなタイプは誰なの?」
「……好きなタイプ…ですか。男ですか女ですか」
「男に決まってんでしょ」

ですよね。

あまり気にしたことがないのでわかんないんですよね。好きな人とかあの日以来作ってませんし。

「それじゃ、テニス部の中では誰が一番タイプ?」
「何で基準がテニス部なんですかって聞いたらめんどくさくなりそうなので聞きませんけど…。私テニス部の皆さん知らないんですが」
「キタよ!何この子!あんた絶対流行りものに疎いでしょ!」
「さっきからちょいちょい失礼ですね…」
「しゃあなあい…私のコレクションの出番か」
「ちょっと何ですかその分厚いアルバム。どこから出したんですか」

そういえばこの子アレでした。テニス部のファンでもあり写真部でした。

写真部といっては聞こえがいいかもしれませんが、やってることは(だいがいが)盗撮です。
裏写真部などと言われだいぶ荒稼ぎしてるだとかなんとか。
噂なのでうのみにしないでくださいね。

「あ、見てこれ。奇跡的なカメラ目線の跡部さん」

分厚いアルバムを広げる香さんに距離感を感じながらも食べ終わっていないお弁当のおかずをつつき、香さんの話を受け流します。

ちなみに言いますと、私は全くと言っていいほど男性に興味がありません。何故だろうと考えてみるとだいぶ前ちょっとした出来事がありまして。
ですがそんな私の過去ほど語るに値しないものはないでしょうし、皆さんも貴重な時間を潰したくはないでしょう。
この話は暇があったら語るとします。

「で?どう?誰がタイプ?」
「そんなことを言っている香さんは誰が好きなんですか?」
「え?あたしは別に」
「別にって…」
「あたしはテニスしてる人が好きなだけだから。ただしイケメンに限る」
「…香さんが今日でよくわかった気がします」

なんというか、少しミーハーなのかと思っていました。
実はそうではなかったんですね。

私がテニス部のお手伝いをすると言った時もなかなか信用してくれませんでしたし変な疑いがかけられましたが、嫌な顔一つしませんでしたよね。

「私が男だったら香さんを好きになってる気がします」
「え、なに!?告白!?」
「違います」

少し可笑しいですけどね。


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