38-2

見られてしまった。恥ずかしい。恥ずかしいというより面倒です。

これがいろんな人に知れ渡ったら、いろいろ話がねじ曲がって、私が全面的に悪いみたいになるんだろうな…。
まぁご飯をこんなにしてしまったのは私ですから、仕方ないといえば仕方ないですが。
砂ついてないところはまだ食べられますかね。

なんて一人で考えて歩いていると、後ろから「佐鳥さん!」と名前を呼ばれました。何奴。
振り向くとそこには鳳くん。

「だっ、大丈夫!?」
「え?」
「海堂が、えっと、あれ、これ話してよかったのかな…。と、とにかく、大丈夫!?怪我してない!?」
「えっと、まず落ち着いて…」

不味いですね。海堂という名前が聞こえたんですけど鳳くんに言ったんでしょうかあの人…。

鳳くんは俺は大丈夫、と言いましたが明らかに焦っています。

「不注意で転んで落としちゃったんでしょ?怪我は?」
「!……大丈夫です」
「そっ…か、よかった」

もしかして加藤先輩のことは話してないんでしょうか。海堂くんやっぱりいい人です。

「それでっ、さっき加藤先輩がいたんだけど…」
「!」
「なんか嫌なこと言われた?すごく機嫌悪そうだったから…」

マジですか。
そういえば、あの人先に中入っていったはずなのに、会ってないですね。嫌味の一つでも言われると思っていたのに。何処へ行ったのやら。

眉を八の字にする鳳くん。言い訳をどうしましょうか。

「あ、いや…。事情を説明したらわかってくれましたから大丈夫です。ちょっと注意されただけですから」
「…本当に?」

頷くと、鳳くんはそっか、といつも通りにはにかみました。

機嫌悪そうって、加藤先輩顔に出やすいタイプなんですね。

「あっ、それでね、青学の人たちがあと何人か料理運びに来るって海堂が言ってた。俺も手伝うよ」
「あ、そうですね。まだ残ってますから」

結局その後、鳳くんと二人でキッチンへ向かいました。


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