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「…とりあえず、何を作りましょうか」

持ってきた食料を冷蔵庫へ入れながら献立を考えます。
献立と言っても、大したものは作れませんが。

「男子ばっかだし、たくさん作ったほうがいいですよね」
「氷帝、青学、不動峰、ルドルフ…おにぎりが一人二個だとすると100個くらい必要ですかね…」
「おかずは?」
「あ、やっぱりいりますか?」
「あったほうがいい気はするんですけど、作るとなると大変ですよねー。先輩は料理得意なんですか?」
「うーん…まぁまぁです」

とりわけ美味くできるわけではないです。お弁当も大概冷凍食品ですから。

「小坂田さんは?」
「一通りいけます!こったものは作れないけど…」

と苦笑い。
でも作れるのだから凄いです。私のとこの先輩は食べられるものではないものしか作れないんですから。
加藤先輩大丈夫ですかね。迷惑かけてないといいんですが。

なんて思っていると、何処からか視線を感じ辺りを探ると、小坂田さんが私を不安げな目で見ていました。

「…?どうかしました?」
「あっ、いや!加藤先輩…でしたっけ。なんか苦手だなぁって…。ちょっと桜乃が心配なんです」

「…と言いますと?」

小坂田さんはあははと苦笑いをして、何となく、と言いながら冷蔵庫に食料を入れます。

「あの、ほら。不動峰の伊武さんが、リョーマ様があの人に取られるとか言ってたじゃないですか。なんか不安で…」

ああ、アレか…。
まぁ深司くんにそんな気はなかったと思わなくもないですが。
あの人鋭いですからね。あの短時間で加藤先輩の本性を見抜くなんて。しかも生理的に嫌だとか言ってたし。

「私も桜乃も、あの人なんか感じ悪いなーって思ってたんです。あ、言わないでくださいよ!?」
「言いませんよ。私もあの人、苦手なんです」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。内緒ですよ」
「もちろんです!よかった、なんか安心しました!先輩たち同じ学校だからちょっと不安で…。これから仲良くしてくださいね、先輩!」

にっこり笑って私の手を握る小坂田さん。おお、なんて行動的。新鮮ですね。どことなく香さんに似てます。

「こちらこそ」

私がそう言うと、はい、とまた笑って上機嫌。上手く笑えましたかね、私。

「じゃあ先輩、何作ります?やっぱりおにぎり?」
「そうですね。ふりかけでもまぶせばいいでしょう。おかずは何かありました?」
「卵とー…あ、ソーセージがあります!ぱっぱっと焼いちゃえばよくないですか?」
「そうですね。…とりあえずお米を炊かないと」

何合炊けばいいですかね。
っていうかこの合宿中、このコシヒカリは足りるんですかね。
明日はサンドイッチか何かにしましょうか。


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