23-1竜崎桜乃さんは竜崎先生のお孫さんで、小坂田朋香さんとは友達らしいです。
いいですね。私も香さんときたかったです。
「佐鳥先輩は、マネージャーなんですか?」
「あ、いえ、マネージャーではありません」
「あっ、じゃあ私達と一緒ですね!」
「お二人もマネージャーではないんですか?」
「おばあちゃんが顧問やってるから無理矢理…。朋ちゃんも私を手伝ってくれるって」
「桜乃一人じゃ大変だろうから!それにリョーマ様だっているし、抜け駆けしちゃうかもしれないからねー」
「?」
「とっ、朋ちゃん!」
顔を赤くする竜崎さんと、その様子をにししと笑う小坂田さん。はて、誰のことでしょうか。リョーマ様?
「あっ、先輩にも教えてあげます!リョーマ様っていうのは、我が青春学園テニス部の1年にしてレギュラーな、めちゃくちゃかっこいい人なんです!私と桜乃もファンクラブ入ってるしね!」
「ファンクラブまであるんですか…。すごい熱狂的ですね」
他校にもいるんだなぁ、そういう、皆の憧れの人。
1年でレギュラーをとるのはすごいですね。テニスを知らない私がいうのもなんですが。
「佐鳥先輩は、そういう…あ、憧れの人とか、好きな人…とか、いるんですか?」
恥じらいながらきく竜崎さん。やはり女の子は恋バナがお好きのようです。
はて、なんと答えましょう。
ないがしろにするのも悪いですし、はっきりいいますか。
「残念ながら、そういった人はいませんね」
「え、いないんですか?」
「誤解されがちなんですが、別にこうやってお手伝いをしてるからといって格別テニス部の皆さんと仲がいいわけではないんですよ」
「え、じゃあ彼氏は?」
「いないです」
「ええっ、先輩かわいいのにもったいないですよ!!」
「いえいえそんな」
「し、失礼ですけど私、彼氏がいると思ってました」
「そうですか?」
言われたことないので、何とも言えませんが。
「ね、桜乃!佐鳥先輩って、不二先輩とお似合いじゃない?」
「え」
「あっ、確かに、美男美女だし…」
「あっ、不二先輩っていうのは青学テニス部の3年で、すごいかっこいい人なんです!」
「はぁ…」
なんだかよくわかりませんが、テニス部ってイケメンだらけなんですね。
香さんがいたら大変そうです。連れてこなくてよかったかも。
「佐鳥先輩って、優しい人で安心した〜。もっと怖い人かと思った」
「ね。氷帝の人ってお金持ち多そうだし、ちょっと怖かったんです」
「そんなイメージがついてるんですか」
「だって、あの部長ですよ!?」
跡部先輩のことですね。
あの人のせいでこの二人からの第一印象は「お金持ちの怖い人」ですよ。なんてことでしょう。
「でもでも!優しい人ってわかりました!これからよろしくお願いしますね!」
「わっ、私も!」
「あ、はい。こちらこそ」
初めてできた後輩。内心嬉しいです。それに優しそうだし、可愛いし。
うらやましいですね、氷帝生は後輩でもちょっと怖いので近寄りがたいんです。
「後は冷蔵庫にしまうだけなので、二人とも先に行ってていいですよ」
「だってさ桜乃。どうする?」
「でも先輩一人じゃ…」
「大丈夫ですよ。多分コートでもネットをはったり、整備したりするので、行ってきてください。私は大丈夫です」
「じゃあ、そちらは先輩に任せますので、よろしくお願いします」
「はい」
「じゃ、また後で先輩!桜乃、いこっ」
「うんっ」
元気がいいですねぇ。しかも、礼儀正しいっていう。
好感が持てますよね。加藤先輩と二人だけだったら、どうなっていたことか。
二人が中和してくれることを祈ります。
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