22-2

寒気がしました。風邪ですかね。
風邪といえば、前兄妹揃って風邪引いたことがありました。大変でしたね全く。私もそのままうつっちゃうし。初めて学校を休んだのが、たしかその日でした。皆勤賞狙っていたのに。残念です。
まぁ、それはどうでもいいですね。目的地に着いたようです。

「佐鳥、大丈夫か?」
「え」
「バス酔い」
「あ、大丈夫です」

そう言うと日吉くんはそうか、と言って先にバスを出ました。私も後に続きます。

出てみるとわかるんですが、大分緑が多いです。つまり、山。
来る途中に民家もあったし、バスも通っている所を見ると、少し田舎なのかもしれません。
つまり、逃げられない。
…すみません。いささか不謹慎でしたね。ちょっと雰囲気を出そうかと思ったんですが失敗しました。
まぁ、逃げる人もいないでしょう。
で、まぁどこにでもあるような民宿です。綺麗でさっぱりしてますね。あと少し大きいです。

「あれ?佐鳥さんどこ行くん?」

忍足先輩に呼び止められました。

「荷物を先に中へ入れなくちゃいけないので」
「ええて。俺がやるで」
「いえ、結構です。先輩は早くコートへ向かってください。バスの台数からすると、他の学校の人達はすでに来てるはずです」
「でも、そんな重そうなん佐鳥さん一人で平気か?」
「大丈夫ですよ。加藤先輩だっていますし」

と聞こえるように言ったら、ずかずかとこっちへ向かってきました。

「じゃあ、私はテニス用品もってくから!!佐鳥さんは食べ物とかお願いね!」

と勝手に決めて、カゴやら何やらを取って忍足先輩の手をひいてコートへ向かいました。
心配そうに私の顔を伺う忍足先輩に私は手をふってこたえると、しぶしぶコートへ向かいました。

「みきなちゃん、マジ大丈夫?」
「やっぱり手伝うよ!」

それを見ていた芥川先輩と鳳くんが駆けつけてきましたが、迷惑はかけられません。
大丈夫だと念をおし、コートに向かわせました。
バスから最後に降りてきたのは榊先生でした。

「思ったより荷物が多いな…。ちょっと待て、カートを持ってくる」
「あ、ありがとうございます」

榊先生は正面玄関ではなく、裏口へ向かいました。やはり頼れる人ですね。体調も悪くないので、何とか頑張れそうです。

「おや」
「!」

声のするほうへ顔を向けると、ピンクのジャージを着た女性がいました。
ここの宿主かと思いましたが、どうやら違うようです。

「えっと…こんにちは」
「こんにちは。はじめましてだね」
「はい、はじめまして」
「私は竜崎だ。青春学園のコーチをしとる。よろしくな」
「よろしくお願いします。私は佐鳥みきなです。氷帝生です」
「ほう。ホレ、お前らも挨拶せんか!」

竜崎先生が体をどけると、後ろにいた女の子二人が顔を出しました。顔だけでなく全身ですが。
一人は綺麗な三つ編みの子。
そしてもう一人は髪を二つにまとめている、ツインテールの子。
背丈からして1年生のようです。

「竜崎桜乃です、あの、よろしくお願いします」
「小坂田朋香です!よろしくお願いします!」
「佐鳥みきなです。こちらこそ」

お辞儀をしたら、お辞儀を返してくれました。嬉しいですね。彼女たちとはいい関係を築けそうです。

「あんたは礼儀がなってるね。うん、感じのいい子だ」
「いえ、そんな…」
「もう一人いただろう、マネージャーが。あいつは駄目だね。挨拶もしないとは」

…加藤先輩のことですね。

「なんだかすみません」
「しっかりおしいよ。先輩ならガツンと言ってやらなきゃ」
「あ、いえ。私は2年です。加藤先輩が3年で、私は後輩なんですよ」
「そうなのかい!?あんたのほうがしっかりしてるから、てっきり3年かと思ったよ」

愉快そうに笑い、竜崎先生は竜崎さんと小坂田さんを前へつきだしました。

「じゃあ、この子達も使ってくれていいからね。学校休んで来てるんだから、しっかり仕事しな!」
「だっ、大丈夫だよ!」
「よろしくお願いしまーす!」

ちょうどいいところで榊先生が現れました。カートを持ってきてくれました。
早速荷物を持っていきましょう。二人が手伝ってくれました。


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