16-2

肩にちょんちょん、と指が触れた感触がして目を覚ましました。
そして気づきました。授業中だと。

「…!?」

一瞬にしてパニックになり回りを見渡すと、皆カリカリとシャーペンを握り何かを書いていました。
え?え?

「…大丈夫か」
「!」

隣で小さな声で日吉くん…ですよね。
眼鏡を外してしまったので顔がよく見えませんが、私の隣の席は日吉くんのはずなので多分日吉くんです。
目を強くこすって眼鏡をかけると、日吉くんが申し訳なさそうな顔をしています。
教室の風景は、やはり授業風景でした。…これはまずくないですか。

一人どんよりしていたら、日吉くんからメモが渡されました。
この場でヒソヒソ話すのは無理だと感じ取ったのか、筆記で伝えようとしているようです。




悪い。寝てたから、起こさなかった。頭痛平気か?
今は自習だから、無理するな。




綺麗に羅列された文字を見て、ほっと安心していると、まだ2枚目のメモが机に置かれました。



暁も心配してた。
保健室行くか?




暁…香さんですね。
もしや、日吉くんに私のことを言ったんでしょうか。香さんを見つけると、丁度こちらを見ていました。
すると口パクで"大丈夫?"と、不安げに口を動かしました。
私は右手でOKマークを作り香さんに見せると、香さんもならよかった、と笑顔を見せ、OKマークを見せました。
どうやら心配させてたようです。

筆箱からメモ帳を一枚とって、目についたオレンジ色のボールペンのフタをとり、日吉くんへと手紙のお返事を書きます。
えーっと…。



わざわざありがとうございます
何だか心配をかけてしまったようですみません。頭の痛みはひきましたので大丈夫です
自習らしいのでもう一眠りします
何かあったら起こしてくださると助かります
おやすみなさい(-_-)zzz




日吉くんに渡すと、すぐにまたメモが机に置かれました。



了解(-_-ゞ




くすりと笑って渡されたメモを筆箱の中にしまうと、視線を感じ横を見ると、日吉くんがこちらを見ていました。

口パクで"ありがとうございます"と呟き、また眠りにつきました。

それから20分間ずっと眠り続け、日吉くんにまた同じように起こされたのは言うまでもありません。


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