18-2

「みきなちゃんおはよー」
「おはようございます」

あれから宍戸先輩とボール整備やら何やらをしていて、20分ほどたった所でテニス部の皆さんがぞろぞろとやって来ました。
芥川先輩が樺地くんに担がれながら挨拶してきました。まだ眠そうです。ちなみに時刻は6時半。

「かばっちあんがと!みきなちゃんそのジャージかわE〜」
「ああ、どうも」
「似合っとるで」
「なんだか微妙ですが、ありがとうございます」

ジャージ似合うって、褒めてるのかけなしてるのかわかりませんよね。
忍足先輩はイヤイヤ、褒めとるんやで?と笑いました。私のジャージではないんですけどね。

「そういや、鳳どないしたんやろ」
「え?」
「さっきからなんかボーッとしとる…ように見える。調子悪いんか?」

確かに、鳳くんは学校に来たときから少し調子が悪いです。
ため息をよくついています。

「佐鳥さん、何か知らん?」
「学校に来たときから少し元気がないなとは思ってたんですが…」
「寝不足じゃないのか」
「あ、日吉。監督が呼んどったで」
「…行ってきます」
「俺も寝不足〜。先バス乗ってる〜」
「あ、先輩。荷物は荷台に乗せるので預ります」
「あ、あんがとみきなちゃんー。でも怪我しちゃ悪いから忍足、よろしく」
「あーはいはい」
「すみません」

すると向こうから向日先輩がやってきました。後ろに加藤先輩がいます。
うーん、若干不機嫌そうに見えますが私のせいではないですよね。



「長太郎、しっかりしろって」
「…」

宍戸先輩が心配そうに俺に話しかける。
別に悲しいとかそんなんじゃない。ただ、無性に、自分に腹がたつんだ。

「…あれ、彼氏、ですよね」
「!…」

俺がそう言うと、宍戸さんはバツの悪い顔をした。わかってた。あの日からもう3年たってる。彼氏がいたって、おかしくないことくらい。みじめな気分になる。

「…お前、それでいいのか?」
「…」
「今お前にできることは、テニスだろ」
「…はい」
「佐鳥に見せるためにやってきたんだ。無駄じゃねぇはずだ。だから」
「頑張ります」
「!」
「頑張って、佐鳥さんにかっこいいとこ見せて、あの男よりかっこいいんだって思ってもらえるように、頑張ります」

片思いで、終わらせたくない。初めてそう思えた、相手なんだ。

「…そうこなくっちゃな」

宍戸さんが言った。


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