『…わかりました。伺います。』
ミカルは迷ったが、本社に行き話を聞くだけ聞いて断ろうと思い返事をした。
『それではまた、後日…お互いにとっていい話となりますよ。』
ツォンという男はなおも安定した声のトーンでそう告げた。
電話を切った後、ミカルはため息を小さくついた。
「神羅カンパニー…か。」
自分を育ててくれた叔母がほんの数ヶ月ではあったが所属していた企業だった。
ミカルは幼かったから多くを知らないが、軍人として第一線で活躍していた叔母が所属するチームごと神羅は吸収したのだ。
神羅カンパニーという企業のやり方に、おそらく叔母はついていけなかったのだと思う。
一年もしないうちに退社した。
こんな風にまた、つながることになるとは…。
ミカルは不自然なトライアングルに、いささかの嫌悪感を覚えた。
『ねぇ、叔母さん。どうして何も言わずにいなくなってしまったの…。』
一人で住むには広すぎる家にミカルの声が響いた。