「えぇ!?ミカルを連れてミッドガルヘ?」
村を守る主要メンバーとブーゲンハーゲンが集まる館へユアンは来た。
ミカルは月日と共にすくすくと元気に育ち、ユアンが部隊の任務でいない間も村人皆に愛されながら日々を過ごしていた。
「部隊を退任することに決めたよ。こっちに戻ろうかとも思ったんだけど、家を買って店を構えてやっていこうかと思ってる。」
驚きと不安を隠せないメンバーをよそに、ユアンは心がすっきりとしていた。
「ミッドガルか」
ブーゲンハーゲンは少し考えたのち、ミカルに目をやり微笑んだ。
「まあ、大丈夫じゃろう。ミカルにも色々な物を見せて体験させるといい。」
「ブーゲンハーゲン様・・・!」
「ありがとう、じい様。」
ブーゲンハーゲンは名残惜しむようにミカルを抱き上げ、あやした。
「行っちゃうの?」
困ったような表情をさせて、ナナキがユアンの元へとやってきた。
「たまに顔だすよ」
鼻先を撫でると嬉しそうにするナナキ。
「ユアンとミカルに会えなくなるの寂しい。」
「ナナキも一緒に行く?」
「いや!オイラはここを守る!」
燃えるような尻尾を振り、跳ね回るナナキにその場にいた全員が笑顔になった。
「行ってくるね、姉さん。」
立てかけてあるユリアの写真にユアンは言葉をかけた。