君に捧げるラブソング





ずっとこの手をつないでいられる。そんな夢を見ていたかった。




「すいな、」

「なーに?カラン!」

何だか、悲しそうな顔でカランが見てる。いやな事でもあったのかな……。

「……わたしの仕事は、新しい奴に任される。だから」

「……やだ」

「最後まで話させろ、アホ」

「いっちゃやだ」

聞こえない。聞きたくないよ。カラン。カランのそのきれいな姿も全部、もう見ることが出来ないなんていやだよ。ものわかりのいい子みたいに出来ないよ。

「……っ、すいな、わたしは」

「カランにいってほしくないよ……」

いやだ。いやだ。いやだ。ぜったいにゆるさない。カランがいなくなるなんていやだよ。すいなの声はカランのためにあるのに。カランに大好きって伝えるためにあるのに。どうして、カランをこまらせるための言葉を言わなきゃいけないの。

「泣くな。バカ……ったく、だから話したくなかったんや」

「カランが良い。カランじゃなきゃいやだよ、すいなはカランじゃなきゃいやだよ……」

ふわり、頭に感じるのはカランがなでる手。ほんとうはすいながカランをカランの事をよしよししてあげなきゃダメなのに。

「安心しろ、わたしはお前と一緒だ」


「……これは、鍵?」

そっと、わたされる冷たいモノ。カランが何時もくくっていたリボンが括りつけられていた。

「新しい奴にわたしの身体へ繋ぐ扉を作らせた。元々、ネットワークは同じなんだ。繋がる部分があっても可笑しくはないからな」

「カラン……よく分かんない」

でも、髪の毛をほどいたカランはきれい。すっごくきれい。今言ったらマジメに聞けっておこられちゃうかな。

「まぁ、簡単に言えば、そこからわたしに飛べる」

「じゃあ、また会えるの?」

「お前がわたしという存在を忘れなければ、な」

そう言って、カランは泣き出しそうな顔で笑う。アホとかバカとか言うけど、カランはバカだね。

「忘れない、メモリーだけじゃない。すいなのココロにカランはちゃんと居るもの!」

カランの手をぎゅっと握ったら、握りかえしてくれた。そっと、包み込むように抱き締められる。

「「ありがとう」」

知ってるよ。知ってるんだよ。もうね、今まで通りにならないことを知ってるよ。ふるえてるものね手。大好き。大好きだよカラン。この気持ちがどうか、どこにいても伝わるように歌うね。いつまでも、カランのためだけに歌うからね。





2011/06/05

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