壊されたモノ、生まれたセカイ



わたしはニンゲンが嫌い

嘘つきだから嫌い

直ぐに裏切るから嫌い

そんなニンゲンをトモダチだと言うリコリスも嫌い

そんなリコリスを慕うアスターも嫌い

そんな自分を偽善者面して救おうとする

「アンタも大嫌いなんや、すいな」

へらへら間抜けな顔をして、こちらを見ているピンク頭。

見ているだけでイライラする

何度も何度も突き放して、遠ざけているのに近づいてくる

能天気な、まるで嫌いな存在なんて無いと言うように真っ白な

見ているだけで気持ちが悪い

「ねえ、カラン」

「そんな険しい顔ばかりすると疲れちゃうよ?」

「笑ってみたら、楽しいよ」

アンタには関係ない

「アンタの顔なんかみとうない」

くしゃりと歪んだ顔、泣いてしまうのなら、近寄らなければ良いのに





ぐちゃぐちゃでどろどろに汚れてるニンゲンもへらへら笑ってる弱いすいなも、嫌い

でも、本当に汚れているのはきっとわたし

全部を全部、否定しなければ自分の存在を保つことが出来ないだけ

すいながわたしに近づく度にそんな自分の醜さを思い知らされてしまう

「カランは綺麗だよ」


「伸びるような声も、そのさらさらした髪も意志を強く持った瞳も全部、全部美しいよ」

「きっとね、かみさまに一等、愛されて作られたんだよ」


そんなふうに曇り無く笑うから

何も言い返せなくなる



「カラン!!!!」

ある日突然、プツンと切れた生命線、わたしが居なければ、すいなは悲しむだろうか



遠くから綺麗な歌声が響く、



あんなにも消えたいと望んでいた世界のはずなのに

あんなにもこの日を待ち望んでいたはずなのに






消えたくないな、なんて










「…何故、泣く」

「あのまま死んでしまうかと思った、から」

幸か不幸か、魂は取り止めてしまったらしい身体は壊れてしまったけれど

ボロボロと泣きながら、わたしを見るすいなが余りにも必死で

「間抜け面」

思わず涙を拭おうと手を差し出したら、また何時ものように笑うから

ぽろぽろ流れ落ちる滴を、頬に当たる暖かさを、誤魔化すようにすいなを抱きしめる

「…カラン?」

「すいなは、何でも壊してしまうんやね」

「好きだ」

「アンタが愛させたんだから」

「ずっと、…ずっと一緒に居なきゃ許さない」

耳元から聞こえる笑い声をわたしは

2009/11/16


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