「今日はシルヴィオせんぱいが遊びに来てましたよー」

資料室で調べ物をしていると、小走りの音が聞こえてくる。廊下を覗くとこちらへ向かって、秋桜色の髪を揺らした彼女はにこにこと手を振ってやってきた。その手には茶色の封筒が握られている。

「遊び、ではありませんよ」

あれ?と首を傾げる彼女の頭を撫でながら、第八騎士団宛と名前の書かれた封筒を受け取る。事務仕事よりも体力仕事と呼ばれる騎士団であっても効率よく動くには情報が不可欠である。それらを円滑にするには他騎士団との連携が必要になる。

「レオは仕事が速いですね」

三日前に出した報告書が直ぐに返っており、適切に処理が為されているのはもとより、報告書以上の情報が詰まった参考書類が返却されるのが驚きである。

「これを纏めて巡回箇所を決めましょう」

レオの人達は何時寝ているのだろうかと要らぬ心配をしながら執務室で作業をしていると、ノックの音が部屋に響く。ガチャリと扉が開けば見慣れた顔が、何時もより顔色の悪い様子で入ってきたようだった。

「アレクさん__」

気分が悪いなら医務室へ行ってらっしゃい。そう言葉を続けたかったのに、伝えようとした彼は身体をぐらりと揺らして倒れ込んでいた。立ち上がるも遅く、頭を強打している様子なために動かすわけにもいかない。

「……世話のかかる子ですね、全く」

気道を確保するも呼吸は出来ているために気絶しているだけでしょう。隣の部屋からは音を聞きつけたシャウラさんが飛んできてくれました。

「効率よりも部下を見てあげなくてはね」

医者に見て貰ったところ、打ち所は奇跡的に悪くなく、どちらかといえば睡眠不足が問題だと診断された彼は医務室ですやすや眠りについているようで。包帯で巻かれた水色の頭をそっと撫でてはどう説教してあげましょうかとエステルーナはため息を付くのでした。



  
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