ぼくは昔から言いたいことを言えず終い。言えない言葉が心に降り積もる。

(本当は色んな人とお話ししたい)

(でも、嫌われてしまうのがこわい)

 ぎゅっと拳を握りしめて自分の臆病さを抑え込む。ちらりと横を向くと、小さな相棒がそっと手にすり寄る。

  人と関わる仕事を選んだのはぼくだから、ぼくがそこから逃げちゃ駄目。嫌われても、良い。ぼくには親友がいる。

「ねぇ、スラファト。今度逢う人はどんな人かな」

 期待と不安を抱えてぼくはゆっくりと腰を上げた。



140810


  
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テーマ「人外ファンタジー」
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