薔薇と少女
「………誰?」 「レナ」
どことなく素っ気ない話し方をする少女だと少年は思った。
「貴方は?」 「え?あ……シロウ」 「シロウ……付いて来て」
それだけ言うと少女、レナは靴の音を響かせて歩き始める。
「あ、おい!」
シロウは慌てて少女の後を追って歩き始める。
「これ、あげる。肌身離さず持ってて。」 「薔薇……?」
花瓶に入った白い薔薇を取ると、シロウの目の前にドアが出現する。
「うおっ?!」 「この薔薇朽ちる時、貴方も朽ち果てる」 「は……?ちょ……!!」
少女は小さく呟くと、ドアを開けて少年を突き飛ばしながら飛び込んで行く。
「イテテテ……」
そしてたどり着いたのは断頭台の描かれた廊下。
「これ……」 「こっち」
少女はスタスタと一人で断頭台の刃が登って行く絵の方へと歩いて行く。
「お、おい……それ絶対危ねーってぇっ!!」
案の定、ヒビの入った床にさしかかった所でギロチンの刃が落下してくるのが目に入ったシロウは、レナを抱きかかえて階段の方へと身を踊らせた。
「だっ………………!!」
階段の上から轟音が響いたのを聞いて、シロウは安堵の溜め息を吐いた。
「イテテテ…やれやれ、レナ大丈夫か?」 「大丈夫。それよりも薔薇が……」 「薔薇……?」
そういえばと手に持ったままだった薔薇の花びらが散って、4枚になっている。
「あー、ゴメン。折角くれたのに……」 「早く花瓶にいけないと……来て!!」
レナは立ち上がるとシロウの手を引っ張って強引に歩いて行く。
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